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小説 舞の楽園  (私の心と肉体 ) <第2部>

   
       私の心と肉体( 第二部 )-3
 「健次の奴。そっちの気があるとは思っていたが・・・こんなに本格的にアパー
トまで借りよって・・・」
お父様が無念そうに、思わずと云った感じに呟きました。
「親父。もう言うなよ・・・。健次は幸せだったのだろう・・・。一子さんと言う
のはあなたのことですね?」
呟いてしまったお父様を嗜めると、お兄様は眩しそうに目を細めると私に問い掛け
て来ました。
「はい。健次様から頂いた名前です。もうお分かりかと思いますが、わたくしは男
でございます・・・」
「わたくしは健次様を心からお慕い申し上げておりました。ご主人様も、あっ、健
次様が2人だけの時はそう呼ぶように・・・と申し付けられておりましたので・・
健次様も整形手術をして頂いたわたくしを、それはそれは・・・愛して下さいまし
たのよ。わたくしは本当に幸せでした・・・わ」
健次様との幸せな生活を想い出して涙が溢れそうになるのを、必死に押し留める私
でした。

「一夫さん。いや、一子さんと言った方が合っているのかな?一子さんは女になる
手術を受けたのですか・・・?健次と知り合う前のことですか・・・?」
「実は・・・2ヶ月ほど前。健次が帰って来て『一子と言う女と同棲しているんだ。
この女とは、俺は結婚したいと思っているんだが、結婚は出来ない女なんだ・・・」
と言っておりました、わたしは『何でまた、そんな事情がある人と・・・』と思っ
たものです」
「今日、初めて貴女を見て、その意味が判ったのです・・・」
それを聞いていて、ご主人様が私のことをどれほど愛していて下さったのか、どれ
ほど私と結婚したかったのかを知ったのです。
もう私は我慢できずに号泣していました。

 泣き咽びながら、思い出のページを捲るように、ポツリポツリと語り始めました。
健次様と初めてお会いしたのは、ちょうど1年前だったこと・・・、その時の私は
みすぼらしい中年の男性で、健次様の上司であったこと・・・。
営業所の決算の打ち上げ式で、睡眠薬で意識不明になったこと、このお部屋に送ら
れて来て恥ずかしいところの毛を剃られ、犯されてしまったこと、それを携帯で写真
に撮られてしまったこと・・・。
恥ずかしくってならなかったのですが、告白していました。勿論、その時々の健次様
を思い出しては泣いております。
「ご主人様のオンナになったわたくしを、健次様はそれはそれは愛してくれました・
・ ・・」と話す時は、ちょっと誇らしかったのです。
その後、健次様もこのアパートで暮らすようになり、私は自分から望んで彼のオンナ
に、いえオンナ奴隷になって行ったこともお話ししたのです。
特に、北軽井沢のお父様の別荘で調教をお受けして、私のマゾ性は開花したことも
お話しました。
「会社も辞めて、健次様の牝奴隷として生きることを決めたところで、健次様が整形
のお医者様を見つけて来て下さって整形手術を受けて、唯一箇所を除いて完全な身体
になりました」(続く)
   
       私の心と肉体( 第二部 )-4
 「その一箇所と云うのは、もうお解かりだと思います。」と言った私にお2人は顔を
見合わせておりました。
「このお部屋の中では、全裸かタンクトップ1枚がわたくしの制服でございました。ご
主人様がお帰りになられますと、玄関に出て奴隷座りをして『お帰りなさいませ。ご主
人様』と申し上げるのです」
「ですから・・・先程の痴態はお許し下さいまし・・・」
優しかった健次様との夫婦生活と同様の暮らしをしていたことを、包み隠さず全てお話
したのです。
お父様とお兄様は時々思い当たることがあるようで、時には頷いて時には黙って聞い
ておられました。
最後に病院での出来事をお話しする時には、涙さえ流されていたのです。
「わたくしは今年で59歳になりますのよ。双廻り以上も年の差があり、この世を永く
生きてきたわたくしが、健次様をお諌めしなければならなかったのですが、私の肉体が
言うことを聞いてはくれなかったのです。それは・・・わたくしの責任でございます」
「このような生活が若い前途ある健次様を死なしてしまったことを、どうぞ、許しては
いただけないでしょうか・・・」
そう言って、涙が溢れている顔を伏せてお願いしておりました。

 「いや。どうぞ・・・顔を上げて下さい。今の話を聞きますと,健次の方が強引過ぎ
たような気がします。それに、健次が死んだのは,貴女の責任ではありません。どうぞ
頭を上げて下さい」
「健次の奴は幸せだったのだな・・・一子さんのように健次を慕ってくれる人が居て・
・ ・・」
お2人は口々にそう言って、平伏して忍び泣いている私の頭を上げるように促しま
す。昨日まであんなに泣いて涸れた筈の涙が後から後から溢れ出て来て、お2人が呆れ
るほど号泣してしまったのです。

 「ちょっと・・・失礼いたします」
ひとしきり、いえふたしきりり泣いて涙を流した私は自分が酷い顔になっていることに
気が付きました。何しろ、お部屋には大きな鏡が張り巡らされているのですもの・・・
お2人にはこんな酷い顔など、見られたくはありません。だって、私は今は女の端くれ
だと思っているのですもの・・・それに・・・健次様の愛して下さったオンナなのです。
立ち上がった私はこの時ほど、『浴室にも鏡を付けて置けば良かったわ・・・』と思った
ことはありません。
お部屋一杯に大きな鏡は取り付けられていますが、身を隠すところも無いDKではお化
粧を直すことが出来ないのです。
お部屋の隅に行ってパフを叩き、青白い頬に頬紅を差し、眉を整えて真紅のルージュを
塗りました。長くなった髪をシニョンに纏め上げると、キリッとした女が大鏡に写って
いました。
お化粧を直した私は再びお2人の前に膝を揃えました。お2人が何の目的でこのアパー
トを訪ねて来たのか薄々は感じていました。(続く)

 
 
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