小説 舞の楽園 ( 私は薫 )
- 2023/09/08
- 23:22
「 薫 」(6)
「こいつはね、会社を辞めて東南アジアのある国で手術を受けたんだよ。あ
そこを切り落として、穴を作って貰ったんだ。オッパイの方も大きくする手
術を受けたんだ」
「それにね。ホルモンをず~っと飲んでいるから、今はオッパイも尻も大きく
なってね、筋肉なんて全く目立たなくなってしまったんだ。オッパイなんて張
りがあって綺麗なものだよ。何せ俺には時々吸わせるが、子供には吸わせてい
ないからね。ハ、ハ、ハ・・・」
大将は隣に立って食器を洗っている奥さんの方をちょっと見て、冗談を言って
笑っています。そして、私の空になった盃にお酒を注いでくれたのです。
私は奥さんの美しさと女性らしさに当てられたように、奥さんの方をチラチラ
と見ているだけでした。
「手術の後はあそこの締まりを良くする訓練をず~っと続けていたらしいけど・・・」
そんな話をお店でチビチビと飲みながら聞いていたのです。
普段は無口な大将が笑って誤魔化してはいますが、話しにくいことも話てく
れているようです。私は驚きで、黙って聞いていたように覚えています。
「それでね。最後に言ったのは『1度でいいから、抱いて欲しい』と言ったん
だよ・・・」
大将は洗い物を終えてお店の奥で片付けを始めた奥さんを愛そうに見て、当時
のことを思い出しているようでした。
奥さんは恥ずかしくってとても大将の話を聞いていることが出来ない風情で、
店の奥に引っ込んでしまったようです。
「俺の性分からして、ここまで真剣に話した人間を無下には断れないじゃない
か・・・。『俺のものがどうなるか判らないが、1度で良かったら付き合おう』
と答えたんだ・・・・」
「そう言うと涙を流して『ありがとうございます』って言ったのよ。いじらし
いじゃないか?本当の女でもなかなか言えるような言葉じゃないよ。それで
ホテルへ直行だよ」
生々しい話ですが、私は黙って聞いているしか方法はありません。大将は盃を
干して自分でお酒を注いでいました。
何時の間にか、奥さんは大将の後ろに立って、紅くなりながらもニコニコと
大将の話を聞いています。とっても大将のことを信頼しているようです。
「風呂には一緒に入ったよ。俺のものはこいつの女になった裸をみたときに
は大きくなっていたけれど、いざと言う場合はどうなるか未知数だったんだ」
「風呂場ではこいつは俺の身体を洗ってくれたんだけど、前の方は洗ってく
れないんだな、これが・・・。俺が『洗ってくれよ』と言っても恥ずかしが
って、まるで生娘のようだったよ。可愛いと思ったよ・・・」
「そして・・・いざことに及ぶと、こいつは本当に生娘なんだ。何にも出来
ないんだ」
大将は後ろに立っている奥さんと眼を合わせて、いかにも可愛いと思ってい
ると言った感じなのです。しかし、奥さんは話が佳境に入って来ると、夫婦
のことですからいかにも恥ずかしそうに下を向いてしまいました。
「こいつはね。何も出来ないんだ。俺にされるがままなんだ。少し痛がって
いる様子もあったな。どうも感じるところまではいかなかったな。ちょいと
俺のプライドは傷ついたな・・・・。」
「ふとシーツに眸をやると血が付いているじゃないか・・・」【続く】
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