小説 舞の楽園 ( 私は薫 )
- 2023/09/09
- 23:06
「 薫 」(7)
私は驚きの連続で大将の話を聞いております。きっと、ポカンとした表情
をしていたと思います。
「こいつに聞くと、処女膜も作って貰ったらしいんだ。『何故そんなことをし
たんだ?と』聞くと、「好きな人に抱いて貰いたかったのです」と言うんだ。
つまり俺の為に処女膜を作り女の体になり、親から貰った身体を弄ったのだ」
「こいつは元は男性で、元々の身体は男だったろう?せめて肉体を女に変え
ることで、俺に抱いて貰えるんじゃないかと思ったらしいのだよ」
「素直でいじらしかったねえ・・・・」
大将はまた盃をグビッと干して、そしてしみじみと言いました。
「そんなことを聞くと今度は俺の心に刺激が起きて、一物が元気になって、
もう1度組み敷いてしまったんだよ。前回よりも時間を掛けて姦ってしまっ
たんだ」
「そうするとこいつは前回の時は感じていなかったようなんだが、声が出る
ようになって来たんだ。それと共に汁も出て来たんだ・・・不思議だね。人
工のものでも汁が出るんだね。次の時は本人も満足した見たいだったんだ。
どうも、初めは緊張していた見たいなんだ・・・」
初めてのエッチをこうもあけすけにバラされては、傍にいる奥さんも恥ずか
しくってならないと言った様子です。
「山ちゃんも知っての通り、こいつはこんな性格の女だろう?俺も手放すの
が惜しくなってしまって、一緒になることにしたんだ。それで、前の店を閉
めて、知り合いの居ないこの場所で店を構えて、一緒に暮らしている訳だ・
• ・・」
そこまで話をすると大将は私の眼の前で、奥さんをいきなり引き寄せて肩を
抱いて、キスをしたのです。奥さんは驚いたようですが、素直に抱かれて上
を向いた紅唇にキスを受けているのです。
お客の居る前では、いえ家でもワンマンな亭主であるはずの大将なのに、意
外と言っては失礼かも知れませんが、優しい1面も持ち合わせていて奥さん
を愛して大事にしているんだなあ・・・と、私は思ったのです。
奥さんは何処から見ても女なのです。お店を彼女に手伝わせても良いと
思うのですが店には来させないと言うのは、純な奥さんを変にスレさせない
と言う大将の亭主としての意地だと私は思っております。
それとも、亭主として女房を養うプライドがそうさせているのかな、とも
考えてしまいます。
またまた、自分だけのものとして、他人には触れさせたくないのか・・・
と考えると大将は意外と焼餅焼きかもしれない・・・私の思考は可笑しな
方向へと進んでいくようです。
ふと、私は今ちゃんの顔を思い浮かべていたのです。そして、今ちゃんに
今の大将の奥さんに対するキスのように口付けをされたらなあ・・・と思
っていたのです。
不思議なことですが男と男の口付けですが、不思議に嫌悪感などは湧かず
に至極当然のように思われていました。幸せな気分が生まれておりました。
「こんばんは・・・まだ、店を開けているの?」
そこへ私の想い人であるあの人が入って来たのです。
私は今思っていたことを今ちゃんに悟られたのではないかと・・・そして
今ちゃんは鋭いから・・・と思って、慌ててしまいまして真っ赤になって
しまいました。【続く】
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