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小説 舞の楽園 ( 私は薫 )


        「 薫 」 (44)
  お母さんの場合は性転換も旨く行ったのですが、私は主人と出会って好きになった訳です
 が、以前は医学的にも純粋に男でした。
 子供はいませんでしたが、一時的にせよ女性と結婚もしていました。
 「如何してお母さんが戸籍上で女性になれて、わたしはなれないの・・・」と言う気持ちは
 ありません。でも・・・主人を愛してしまってからは、『女性になりたいわ・・・』 と言う
 欲望は人一倍あるのです。
 お母さんを羨ましいと思う気持ちは・・・それはもう、ありますわ。
 でも、今は・・・去年の温泉旅行の折に、主人の気持ちをハッキリと確かめましたし、掴む
 ことが出来ましたので、満足しております。それに。。。主人は人一倍優しいのですもの・・
 戸籍変更が通りましたら、お父さんとお母さんには正式に夫婦になったご報告をする積りで
 す。

  「貴女の養子縁組はどのように進めているのかしら・・・?」
 お母さんは聞いて来ます、
 「まだ・・・なにも・・・」
 「それだったら・・・弁護士さんを通した方がいいわよ。弁護士さんを紹介して上げましょ
 うか?。わたし達がお世話になっている弁護士さんは、こう言う問題については理解が深い
 方だから、明日一緒に相談に行きましょうよ・・・」
 私が昨日、主人が話してくれたことをお話ししますと、弁護士さんを紹介して下さるとの
 ことです。
 弁護士さんの理解の深い「こう言う問題」とは男性から女性になった人のことや、男性同士
の愛情の問題のことです。
主人はきっと明日は、お父さんと2人だけで、これからのお仕事についてお話を続けること
でしょうから、私達女は立ち入ることは出来ないと思います。
「善は急げ」です。お母さんの言葉に甘えることにしました。 

 翌朝、弁護士先生の事務所が開くと同時に、お母さんと一緒にお伺いしました。
お母さんに紹介された私は本名を名乗ります。そして「男です」と付け加えます。
私は法律やその事務手続きにはとても疎いのですが、弁護士さんが作成した書類に同意の
サインをして、お役所に提出する書類に名前や理由などを書き込みます。
後は実印を押せば依頼者は何もしなくても良いということで簡単なものだそうです。
後の細かなことは弁護士さんがしていただけるとのこと、これから主人の仕事が忙しくな
ると思われる折、私達にはピッタリだと思ったのです。
主人の仕事のことは、お店を出すと言うことぐらいしか聞いてはいないのですが・・・

 「ついでながら・・・貴女はお幾つですか?」
「63になりましたのよ・・・」
私が年齢を書く欄に年齢を書いているのに、弁護士さんはそう尋ねています。私は年齢
詐称をせずに本当の年齢を答えています。年齢は戸籍謄本で分かってしまうからです。
嘘を言ってもしかたありません・・・もの。
そう答えますと、弁護士さんは驚かれたようで、まじましと私の顔を見ています。『実年齢
よりもかなり若い・・・』と思ったようです。
「失礼しました。本当にお若い・・・ですね」
ハッと我に返ったようで、照れ臭そうに弁護士さんはハンカチで顔を拭っておられます。
そんなことを聞かれて若い・・・と驚かれると、女って直ぐに嬉しくなってしまう生き物
ですね・・・
この驚いている弁護士さんに好意を抱いてしまっていました。そのあとは意気揚々と云っ
た感じで主人の元に帰ってまいりました。(続く)
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