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小説 舞の楽園 ( 私は薫 )


        「 薫 」 (45)
 
     < 新しいお店と新しいお家 >
  薫がスキップでもしそうなほど非常に嬉しそうな様子で帰って来た。俺に何か話しをした
 くって仕方が無さそうな様子だった。
 「如何したんだ・・・ね」
 俺は思わず聞いていたんだ。
 「今日は・・・ね。お母さんとご一緒して、弁護士さんの事務所に行って来ましたのよ。そ
 れは御承知でしょう・・・?そこで、養子縁組のことを相談して参りましたのよ」
 薫の言うお母さんとは千寿さんのことなんだ。大将が俺の兄さんになってくれたので、俺に
 とっては大将のお嫁さんだから姉さんになる。
 「養子縁組を書類と手続きは簡単だ・・・そうだわ・・・」
 薫はまだ上気した顔を幾分かしげて、手続きの簡単さを俺に話した。俺は興奮しているよう
 な薫が、なんでそんなに嬉しがっているのか不思議だった。
 「弁護士さんが・・・ね」
 薫は言いかけて止めて、ニッコリと笑った。
 「弁護士さんが・・・わたしを見て・・・ね。「若い・・・」と言って感心しているの・・よ」
 薫はとっても嬉しそうである。
 女と言うものは幾つになっても、「若い」と言われると嬉しいものらしい。そこえ行くと、男
 は年を取っても、「若い」と言われてもそんなには嬉しくは感じないものである。女には格別
 らしい・・・。
 養子縁組のこともあって、薫には嬉しくて仕方が無かったものと見える。
 『可愛い奴だ・・・』と俺は思いを新たにした。

  我々の新しい店のことは大将と相談して大まかには決まった。
 後は店舗を探すことと工務店を探すことに、我々4人が一緒に暮らせる家を探すことだ。
 それを姉さんと薫に伝えると2人共大喜びをしていた。
 「場所は・・・どちらになるのでしょうかしら・・・?」
 女共2人は口を揃えるようにして同時に聞くので、男2人は思わず大笑いに笑ってしまった。
 女共2人は同じことを同時に言うので・・・顔を見合わせて笑ってしまったのだ。
 「全く知らない土地よりも、現在俺と薫が住んでいる街がいいんじゃないか・・・」と俺と
 兄さんは話し合っていたのだ。それも女共に伝えると、2人はまた喜んだ。
 俺達が住んでいる街だから、店舗探しや家の方を探すのは俺が引き受けて、もし良い物件が
 見つかったならば兄さん夫婦が見分にやって来ることにして、俺に一任と言うことになった。
不動産屋に店舗と家を同時に探して貰う積りでいるから、それほど苦にはならないと俺は
 考えている。

  「薫には俺達4人が住む家が見つかったら、家の改造の方は頼むことになるだろう・・・」
 「新しいお家のことは任せて・・・お家のことは主婦が一番分かっているのよ・・・」
 俺が薫に言ったところ、薫は胸を叩かんばかりに言っているので、姉さんは笑っていた。
 「依頼したお家が見つかってわたし達が気に入ったならば、男の人の眼だ見て貰ってから
 決めたい・・・わ」と、またまた可愛いことを言っている。
 『きっと、薫もこの1年で主婦らしく成長したのだ・・・』と俺は思っている。

  店と家とは思っていたほど時間が掛からずに、気に入った物件が見つかった。
 店の方は小さなビルだが、1階と2階になっている物件だ。不動産屋の話では「以前は喫茶
 店を営業していた」と言う。上下でかなりの広さがある物件であった。(続く)
      
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