fc2ブログ

記事一覧

小説 舞の楽園 ( 私は薫 )


        「 薫 」 (52)
   兄さんは新しい店を開くに当たり古い店を閉めて後片づけや、新しい店に運ぶ什器
 の整理が終わったとの連絡が入った。
 2日後にはこちらに来られるとのことであった、
 「家の荷物も同時に発送するので、新しい家に運び込むことが出来るようにして欲しい」
 兄さんは言っている。
 それの準備は薫に全て任せてやってくれた。


    < 女になった喜び >     
   お父さん、お母さんと私達4人が住む家の方は不動産会社の人が紹介して下さった
 工務店で、何か所かは工事をして貰って、後は本契約を取り結ぶばかりになっていっます。
 主人は「来週には本契約を行って、その週のうちには引っ越しをしたいな・・・」と言
 っています。
 主人も新しいお店が出来上がるまでには、引っ越しを済ませて置きたいと考えているの
 です。それに、今住んでいる住宅は会社が契約しているアパートで、退職すると3か月
 以内に出なければいけないらしいのです。

  私は急に主人に呼び出されましたので、取り合えずお金と主人の下着と着替えだけを
 持って駅に駆けつけました。
 私はお母さんのお化粧道具をお借りする積りでした。そして、肌襦袢やお腰は今朝替え
 たばかりでしたので、用意をしてはいなかったのです。下着は前から着けてはいません
 でした。
 1週間振りにお父さんやお母さんにお会いできると云うのも楽しみなのですが、主人と
 一緒に列車に乗れるのが嬉しくて、必ずと言ってもいいくらいにウキウキとしてしまう
 のです。
 女に成ればなるほど、この気持ちが強くなって来まして、主人を独り占めしたい気持ち
 がとっても強くなってくるようです。
 昔の人に「阿部定」と言う女の人がいたようなのですが、その女の人は別れ話を持ち出
 されたことから旦那様の一物を切り落としてしまったことで有名になったようです。
 私も「定」さんの気持ちが解るような気がしているのです。
 滅相もないことですが、私も主人から別れ話を持ち出されましたらば、気も狂わんばか
 りに泣きまして、定さんのお話ではないのですが主人の一物を切り落とすことに走る
 かも知れません。
 女は取り込もうとする力が男の人よりもず~っとず~っと強いように思われます。
 でも私は、主人には別れ話を持ち出されようとは考えておりません。
 主人は私のことを、女として本当に愛して呉れていますの・・・これには・・・良く
 言うじゃありませんか『中年からの恋は溺れる・・・』って・・・
 私達はその通りなのです。主人も私も恋に溺れているのですもの・・・これからも溺れ
 ぱなしになっているんじゃないかしら・・・そう思うのです。

  いよいよ、開店の日がやってまいりました。
 お母さんも、私も緊張しております。今日からは2人で女将さんになって、接客に当た
 らなくてはなりません。
 接客業なんて素人の私達に出来るのでしょうかと、心配なのです。でも、夫達を助ける
 為にも頑張らなくてはならないのです。
スポンサーサイト



コメント

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

舞

Author:舞
FC2ブログへようこそ!