副操縦士 ピエール
- 2023/11/05
- 23:01
副操縦士 ピェール - ( 1 )
< 1 > ピエール
俺は女性パーサーが気分が悪いために、コックビットクルーへ飲食物を運ぶ
役目を引き受けた。
ジャンボ機がパリを飛び立ってから、コックビットクルーに飲み物や食べ物を運
んでから、副操縦士のピェールに声を掛けた。
ピェールは噂の通りのハンサムボーイで端正なマスクをしている。
しかも・・機嫌も良く、俺が話しかけるとにこやかに返事をする。
俺とピェールとは初対面であったが直ぐに打ち解けた。
「 アンカレッジのホテルに着いたら・・バーで一杯やろう!」
どちらともなく、話がまとまった。
俺。雨宮一夫はパリに本店があるヨーロッパ航空のスチュワードである。
35歳。独身。俺は女が大好きである。
俺は自分が女好きであることに高校時代から気付いている。
それならば、出世競争に凌ぎを削っているよりも、一生女あさりが出来る職業を
と考えたのだ・・
それで・・外国の航空会社のスチュワードになったのだ。
スチュワードと云えば聞こえはいいが、飛行機が飛び立つとバーテンに早変わ
りをして、ワインを抜いてサービスをしたり、注文があればカクテルを作ったり
するのが仕事である。
飛行機がアンカレッジに到着した。
俺は勤務を交代して宿舎のホテルに入り、部屋のセミダブルのベッドの上に荷物
を置くと、ホテルのバーに直行した。
直に、副操縦士のピェールもやって来た。
しかし・・私服のピェールはコックピットにいる副操縦士の制服を着ている時と
は、何となく違っているんだ。
妙に仕草が女っほいのである。
「 嬉しい・・あなたと一緒にお酒が飲めて・・」
座るなりそう言いながら、俺の指に掌を乗せて来たんだ。
綺麗に磨いた白い指だった。
俺は、背筋がゾクゾクとした。( 続く )
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