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副操縦士 ピエール




副操縦士 ピェール - ( 1 )


< 1 >  ピエール


    俺は女性パーサーが気分が悪いために、コックビットクルーへ飲食物を運ぶ
  役目を引き受けた。
  ジャンボ機がパリを飛び立ってから、コックビットクルーに飲み物や食べ物を運
  んでから、副操縦士のピェールに声を掛けた。
  ピェールは噂の通りのハンサムボーイで端正なマスクをしている。

    しかも・・機嫌も良く、俺が話しかけるとにこやかに返事をする。
  俺とピェールとは初対面であったが直ぐに打ち解けた。
  「 アンカレッジのホテルに着いたら・・バーで一杯やろう!」
  どちらともなく、話がまとまった。

 

   俺。雨宮一夫はパリに本店があるヨーロッパ航空のスチュワードである。
  35歳。独身。俺は女が大好きである。
  
   俺は自分が女好きであることに高校時代から気付いている。
  それならば、出世競争に凌ぎを削っているよりも、一生女あさりが出来る職業を
  と考えたのだ・・
  それで・・外国の航空会社のスチュワードになったのだ。

   スチュワードと云えば聞こえはいいが、飛行機が飛び立つとバーテンに早変わ
  りをして、ワインを抜いてサービスをしたり、注文があればカクテルを作ったり
  するのが仕事である。


   飛行機がアンカレッジに到着した。
  俺は勤務を交代して宿舎のホテルに入り、部屋のセミダブルのベッドの上に荷物
  を置くと、ホテルのバーに直行した。

   直に、副操縦士のピェールもやって来た。
  しかし・・私服のピェールはコックピットにいる副操縦士の制服を着ている時と
  は、何となく違っているんだ。
  妙に仕草が女っほいのである。

   「 嬉しい・・あなたと一緒にお酒が飲めて・・」
  座るなりそう言いながら、俺の指に掌を乗せて来たんだ。
  綺麗に磨いた白い指だった。
  俺は、背筋がゾクゾクとした。( 続く )
  



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