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小説 舞の楽園 ( そうすれば家族 )




そうすれば家族・・{ カミングアウト } ( 35 )

連休の最終日のことです。

   「 あなた・・」
  クーラーの効いた寝室のベッドの上で、腹這いになって煙草に火を点けてい
  ます夫の背中に縋り付いて、私は特別に甘い声で呟いたのです。
  今の今まで考えていたことを申し上げて、夫の判断を仰ごうと思ったのです。
  何時の間にか・・夫は未成年ですが、SEX の後は必ず1本煙草を吸うように
  なっています。

   「 何だい・・!」
  全裸の夫はゴロンと願えりを打って、煙草を持っていない左手で、私の長く
  伸びた髪の毛を優しく撫ぜてくれています。

   「 わたくしね。もう耐えられなくなって来ましたの・・よ!」
  このところ、この2階のお家の中にあっては、常用語となりました丁寧な女
  言葉で、私の苦しい胸の内を吐露しております。
  夫は何もおっしゃらずに、わたしの眼の中を覗き込んでいました。

   「 わたくし・・ね。女になって・・下に行きたいの・・よ!」
  「 フ~ン。そうかい!カミングアウトをしたいんだ・・!すればいいよ!」
  マジマジと私の顔を見ていた夫はニッコリと笑うと、私の苦悩に答えてくれ
  ていました。
  それも・・非常に優しい声で・・事もなげ・・にです。

   「 エッ・・?」
  驚きました。
  夫が、カミングアウト」に賛成して下さるとは思っても見なかったのです・・
  夫は若いからでしょうか・・?私の悩みの本質を理解していないような気が
  しました。

   「 下に・・女姿で行ったらば・・『 如何したの・・?」と聞かれる
  と思うのよ・・当然のことでしょう・・」
  「 その場は適当に誤魔化せても・・いずれは・・あなたとのことが判って
  しまうと思うのよ・・」

   「 ネェ・・お店も閉めて・・何処か遠くに行きましょうよ!そこで・・
  2人切で暮らしましょうよ・・」
  「 あなたが大学に入ってら・・わたくしは完全な女になる・・のよ」
  取り乱した私は考えの片隅にあります、有らぬことを口走っておりました。


   「 そういうことも考えたの・・? まずは、女になって、下の店に行
  って見たら・・?」
  「 俺は・・構わないよ・・! 『 お前と夫婦になった!』と言っても
  ・・」

   私が泣きそうになりながら、(・・と言っても、最後の方は泣いていま
  した)『 2人のことを知っている人が居ない所へ行きましょうよ・・』
  と第2の案を示しますと、夫は冷静に煙草を灰皿に押し付けると、私の
  躯をギュウッと抱き締めて申します。

『 和樹様も考えていらしたのだわ‥』と思うと、突然のように涙が流
  れて来ました。

   「 何時になったら頼子が言い出すか・・と思って居たんだ・・!」
  そう申して、ポロポロと流れ出る私の涙に唇を寄せてくれています。

   夫の私を想って下さる気持ちと夫の優しさに、感極まった私は大声を出
  して泣き崩れてしまたのです。

   涙って、悲しい時よりも嬉しい時の方が沢山でるものですね・・


   「 俺と頼子は夫婦になったんだ! 苦しいことも楽しいことも共有し
  て行きたいと、俺は思っている・・!」
  「 そんなに・・泣くなよ・・!」
  涙で霞む眼で和樹様を見上げると、夫は優しくおっしゃって、又、力一杯
  抱き締めて下さいました。

   6か月前には、息子だった和樹様は肉体だけでは無く精神も、私を抜い
  て逞しい男性になったのです。
  もう・・17歳の子供なんかじゃありませんで、一人前の立派な男性です。

  私はそれを感じて・・又、涙です。(つづく)


  
   














      
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