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小説 舞の楽園 ( そうすれば家族 )





そうすれば家族・・{ カミングアウト } ( 37 )

 「 オッ、いいな! 胸も膨らんで・・。これを着て下の店へ行くのかい!」
   薄いブルーのノースリーブのワンピースが椅子の背に掛かっているのを見た夫
   がそうおっしゃいます。

    「 エエ・・でも、心細いわ・・」
   「 大丈夫だよ! そうだ・・俺も一緒に行くよ・・!」
   「 夫だと言って紹介してくれよ・・!」
   「 『 案ずるより生むが安し』と言うじゃないか・・そうしよう・・!」

    余りに心細さを漂わせる私を見て、夫はそう申します。
  もう・・何もかもが、フッ切れた様子の優しい和樹様です。


    「 何だ・・そんなに泣くなよ・・!化粧が台無しだぞ・・!
  「 あなた」と言った切り、後の言葉がでないで涙に繰れる私をキツク抱き締め
  てくれていました。
  
   女になった私は涙腺が緩くなったのでしょうか、、直ぐに涙がでるのです。

 
   下階のお店が開いたようです。
  パートさん達の声が聞こえて来ました。

   泣きはらしたお顔を、再びお化粧をし直しまして、妻が残したブルーのワンピ
  -スを着た私とポロシャツに白いパンツを履いた和樹様とが階段を降りて、お店
  の扉を開けました。
  ウジウジとします私の背中を、夫は押して呉れています。

   「 おはようございます・・」
  「 あらっ。和樹ちゃん。どうしたの・・・?」
  
   入って行くと、4人のパートさん達が振り向きました。
  何時もは3人でお店を廻しているのですが、今日はお休み明けということもあ
  りまして、4人全員が揃っているのです。

一番年上の野上さんが、ノースリーブを着た女の背中に手を置いている和樹
  様に聞いています。

   パートさん達は4人共主婦で、この町の住民です。
  2人が私よりも年上で、1人が私と同年配で、1人の人は40台前半と言ったと
  ころです。
  年上の3人が和樹様がここに来る前から働いていまして、4人とも和樹様を可
  愛がってくれています。


   「 うんっ。俺の嫁さんをみんなに紹介しようと思って・・」
  私の背中を押して前に出しながら、内心は如何かは判りませんでしたが、平然
  とした口調で申します。
  何時もの通りの、幾分甘えた口調になっています。

   パートさん達が集まって来ました。
  皆さん、今の言葉に、興味深々と言う表情を浮かべていました。

   「 さぁ・・頼子。僕の嫁さんだ・・!」
  「あっ。・・社長さん。社長さんなの・・?」
  集まったパートさん達の前に押し出された私を紹介するよりも早く、皆さん
  気づいたようです。

   幾ら完璧にお化粧をしていようと、頭にウィッグを冠ってワンピースを着
  ていようと、長年一緒にお仕事をしていたパートさん達です。
  それに・・目です。
  目だけは付け睫をしていても、誤魔化すことは不可能です。

   「 えっ!如何して・・?社長さんが・・・?」
  驚いたパートさんが口々に言い出して騒然となりました。
  女になった私は恥ずかしくって死にたくなったほどです。(つづく)
   
  
   














      
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