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小説 舞の楽園 ( そうすれば家族 )




そうすれば家族・・{ カミングアウト } ( 39 )

それから約1時間。最初のお客が弁当を買いに来店するまで、私と和樹様は
  オバサン達の質問責めに会っておりました。

    「 社長さん。 あっ、これからは頼子さんとお呼びしましょうね・・」
  1番年上の野上さんがそこまで言うと、他のパートさん達の顔を覗き込みます。
  皆さん、顔を見合わせて頷きあっておりました。

   その時の皆さんの雰囲気は、もう私を女として認めてくれたような雰囲気で
  した。
  ・・と言うよりは、皆さんと同じ女性として、お仲間に加えてくれたのだ・・
  私には感じられたのです。


   「 改めて・・頼子さん。頼子さんは何時から女になったの・・?」
  パートさん達の好奇の目に囲まれて、私は顔に血が登って来るのが感じられて
  おります。
  いえ。顔どころかノースリーブのワンピースから出ている腕も脚さえも、真っ
  赤になっていました。

   「 その質問には、僕から答えよう・・」
  私の肩に手を置いていらした和樹様がそう申しました。
  『 どうせ。判ってしまうことなんだ・・』と思ったのでしょう。もう彼は
  開き直っています。

    彼のオンナとなった私を少しでもフォローしたい・・と云う、心情からだ
  と私は思っております。
  和樹様は心優しい・頼れる夫なのです。


   「 お母さんが死ぬ3日前のことなんだ。お見舞いに行った時に言われたん
  だ・・」
  好奇の目をしたパートさん達を前に、和樹様は訥々と語り始めました。
  ソーッと、私がお顔を仰ぎ見ますと、彼は何処か遠くを見ているような目をし
  ておりました。

   「 『 家族になってね。これからもお父さんのこと・・助けてね!』って
  言われたんだ・・!」

   私を含めて5人の女性達はしわぶき1つしないで、彼の言葉に聞き入って
  おります。

   「 僕は、お父さんが・・お母さんが入院をしてしまって、寂しがっている
  ことを知っていたんだ!」
  「 僕がお母さんの代わりをしてあげれば・・いい・・と思ったんだ!」
  「 ところが・・見ての通り。僕の方が身体が大きくなっているんだ!そこで
  ・・僕が夫になって頼子が女に・・妻になればいい・・と考えてのだ!」

   「 そうすれば・・家族のままでいられる」

   「 そこで・・病院の帰り道に、車の中で・・頼子を襲ったんだ! 酷いこ
  とをしたと思っている!頼子は処女だったんだ・・!」
  そこまで一気におっしゃると、私の肩を抱いている手に力を込めました。
  もう、「 お父さん」とは言いませんで、「 頼子 」と私のことを呼んでい
  ます。

   彼は、他人が何と言おうと、何と考えようと、自分の気持ちに正直に生きる
  ことを決心したみたいです。

   私は自分達の恥部を晒すことの恥ずかしさから、白い躯を朱に染めています。
  けれども・・和樹様が頼もしくって、肩に廻った彼の腕に、そっと手を添えて
  おりました。( つづく)



  
   














      
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