小説 舞の楽園 ( スキャンダル )
- 2018/06/29
- 00:56
スキャンダル (2)
「そうだ! 帰る前にウィスキーのストレートでも作って呉れないか?ここ
に来ると高級モルトが飲めるんだよな・・・」
隣の応接室に入った岩城は、豪華な革張りのソファーに身を沈めて言った。
義樹は帰ろうとしたが会社の上司で、次期役員候補の噂がある岩城総務部長に
そう言われては、帰るに帰れなくなっていた。
折角羽織った明るい紺色の背広を脱いで、ストライブのワイシャツ姿になり、
バーのカウンターの中に入って、ストレートのウィスキーを作ってチーズの
盛り合わせと共に、岩城の座っている応接セットまで運んだ。
「いや、ありがとう。君も1杯どうだ! いいものを今から味わっておくのも
大切なことだよ」
岩城は恩着せがましく言って、モルトを咽に流し込んでいる。
「では、1杯だけいただきます」
あまりお酒に強くない義樹は、折角、岩城総務部長がそう言ってくれるのだか
らとウィスキーの薄めの水割りを作って、岩城の反対側のソファーに座ろうと
する。
「ここに座りたまえ!!」
岩城は自分の座っているロングソファーの隣を叩いて命令した。
「はい」
<この部長の親愛の情かな?>
と思いながら拒否する理由も見当たらず、岩城部長の右側に腰を下ろした義樹
である。
「如何だね、慣れたかね?」
岩城は義樹に持参させたウィスキーを煽ってグラスを置くと、義樹の薄い紺色
のスラックスの膝の上に右手を置いた。
義樹はハッと息を飲んだ。しかし、相手は会社の上司である。
身体を硬くするしか方法はなかった。
しかしそれは、義樹をものにしようと思っている岩城には、承諾ととれるほど
の動きでしかなかった。
「いいだろう・・・?」
岩城は今まで男を抱いたことはなかった。しかし、幸田専務から言われている
「男好きの岡崎常務のセックススキャンダルを暴くのだ」との指令を遂行するた
めには、義樹をものにするのが一番手っ取り早いと考えたのである。
もし、近い将来常務が義樹に手を付けて義樹が常務派に入るとしたらば、内部
スパイとして活用は十分に考えられる、メリットは大きいと踏んだのだった。
(続く)
「そうだ! 帰る前にウィスキーのストレートでも作って呉れないか?ここ
に来ると高級モルトが飲めるんだよな・・・」
隣の応接室に入った岩城は、豪華な革張りのソファーに身を沈めて言った。
義樹は帰ろうとしたが会社の上司で、次期役員候補の噂がある岩城総務部長に
そう言われては、帰るに帰れなくなっていた。
折角羽織った明るい紺色の背広を脱いで、ストライブのワイシャツ姿になり、
バーのカウンターの中に入って、ストレートのウィスキーを作ってチーズの
盛り合わせと共に、岩城の座っている応接セットまで運んだ。
「いや、ありがとう。君も1杯どうだ! いいものを今から味わっておくのも
大切なことだよ」
岩城は恩着せがましく言って、モルトを咽に流し込んでいる。
「では、1杯だけいただきます」
あまりお酒に強くない義樹は、折角、岩城総務部長がそう言ってくれるのだか
らとウィスキーの薄めの水割りを作って、岩城の反対側のソファーに座ろうと
する。
「ここに座りたまえ!!」
岩城は自分の座っているロングソファーの隣を叩いて命令した。
「はい」
<この部長の親愛の情かな?>
と思いながら拒否する理由も見当たらず、岩城部長の右側に腰を下ろした義樹
である。
「如何だね、慣れたかね?」
岩城は義樹に持参させたウィスキーを煽ってグラスを置くと、義樹の薄い紺色
のスラックスの膝の上に右手を置いた。
義樹はハッと息を飲んだ。しかし、相手は会社の上司である。
身体を硬くするしか方法はなかった。
しかしそれは、義樹をものにしようと思っている岩城には、承諾ととれるほど
の動きでしかなかった。
「いいだろう・・・?」
岩城は今まで男を抱いたことはなかった。しかし、幸田専務から言われている
「男好きの岡崎常務のセックススキャンダルを暴くのだ」との指令を遂行するた
めには、義樹をものにするのが一番手っ取り早いと考えたのである。
もし、近い将来常務が義樹に手を付けて義樹が常務派に入るとしたらば、内部
スパイとして活用は十分に考えられる、メリットは大きいと踏んだのだった。
(続く)
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