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小説 舞の楽園 ( 台湾1周 )


         台 湾 1 周 - 2
    彼は54歳で、62歳の私よりも8つも年下と云うことです。
 住所は同じ千葉県の船橋市だそうです。私の住んでいます団地からは車で30分ぐらい
 でそうです。
 私はバージニアスリムを1本だけ吸いまして、彼はケントを2本吸って喫茶ルームを出
 ましてコーヒーを飲みました。少しお話をしていると搭乗時間になり、搭乗口の方に向
 かいます。
 彼は大柄なのです。私は160cmしか無いので、歩いているとどうしても遅れがちに
 なってしまいます。彼は歩調を緩めて待ってくれるのです。
 『外見に似合わずに、この人は優しい人なんだな・・・』と思っておりました。

  チャイナ航空は機体の後方に描いてある大きな梅の花がマークなのです。
 成田と台北の時差は2時間だそうです。機内で軽い夕食を食べて、曇天の中で桃園空港
 へ降り立ちました。
 桃園空港には沢山の梅のマークの飛行機が並んでいます。『流石は中国に来たのだな。成
 田とは趣がちがうな・・・』と思ったものです。
 私は時計を持たずに来ましたので、携帯の時間を2時間ずらしました。
 現地時間で17時に桃園に到着しまして、直ぐにバスで今夜の宿泊地台中まで2時間で
 す。
 雨が降り出して来ました。今回の旅行は台風が近づいて来ているようで、晴天は望めま
 せん。

  バスの中は座る席は自由なようでした。
 私が運転手さんの側の2列目に座りますと、成田空港の喫茶室でご一緒した彼が座って
 来ました。
 「ここ・・・いいですか・・・?」
 「はい」と答えると、彼は180cmはあろうかと思われる身体を折り曲げて、窮屈そ
 うに隣の席に座りました。
 『こんなに大柄な身体をしているのだったら、独りで席に座ればいいのに・・・』と空
 いている席を見ながら思っています。そして、『彼とはお友達になれそうだ・・・』と
 直観が働いていました。

  バスが出発すると、暫く彼とお話ししました。
 彼は河津高博と名乗りました。「市原にある製鉄会社の下請けの小さな会社を経営して
 いる・・・」とも言っていました。「 弱小の会社なんですが・・・」と言って笑って
 います。
 私が「千葉の幸町団地に住んでいます」と云うと「船橋から市原まで車で毎日通って
います。あなたの団地の近くを通っています・・・」と笑っていました。

 「わたしは流健太と申します。62歳になりました。会社を定年で退職しまして、
亡き妻と『是非行って見よう』と話していた、台湾なのですよ・・・」 
「おやっ、奥様は亡くなれているのですか・・・?お互いに独り身ですか・・?まあ
台湾は親日的なところですから、楽しい旅行になりますよ・・・」
私が妻を亡くしていることを問わず語りに話すと、そう言って慰めてくれました。彼
は私とは違って物事にはクヨクヨ悩んだりしない前向きの性格のようです。

 この旅行のバスの添乗員は曽さんと云う現地の男性がガイドさんとして付いてい
ます。
彼は公務員だったようですが、「今はガイドをしているのだ」と言っていました。50
台ぐらいの方です。
曽さんの日本語は台湾ナマリと言うか、純粋の日本語ではありませんで、話している
ことの意味は判るのですが、時々可笑しな言い回しをするのです。でも、日本語は
堪能なほうです。
それから、この旅行中に何度も歌を唄ってくれましたが、日本ではもう歌わない古い
歌が多いのです。これも笑ってしまいました。(つづく)

 
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