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小説 舞の楽園 ( したたかな女 )

       「 したたかな女 」(1)
<1> 妻との別れ
 私は藤井義男。
大手商社を2年前に退職して、今はその退職金で悠々自適(でもないか?)の
生活を送っている62歳の男です。
永い間、家族(と言っても、今は妻だけなんですが)を置いて単身で海外の支店
を歴任しまして、そこで定年を迎えたのです。
商社での勤務の最後の2年くらいは、本社に戻って部長席ぐらいは与えてくれる
だろうと期待はしていたのですが、結局のところは南米からアジアに廻されてア
ジアも2カ国を移動して、そこの支店長で終わっています。
東京にある本社に赴いたのは、退職手続きと退職の辞令交付だけの寂しい幕切れ
でした。
 海外の支店長時代はバブルから転落した日本とは言え、赴任した国ではその国
の普通の人達が羨むような生活を送っていたのです。
取引の会社では本当にVIPとして扱われている生活なのです。
バーやクラブ、もち論レストラン等は日本より数段と値段が安くって、女の値段
だって現地の事情を知って交渉するならば、半額いや1/3くらいで手に入って
遊べるのです。
こうした一見華やかな生活を送っていました私は、女の人に対する態度が幾分
と云うか大分横柄になっていたようなのです。
私は自分でも気が付きませんでしたが、俗に言うところの『札束で頬を叩く』と
云うような振る舞いが身に付いていたようです。
 退職して、13年間にも及ぶ海外生活から東京の西部にある我が家に戻りま
すと、妻が待っていてくれたのです。
妻は「お疲れ様」と淡々とした調子で労いの言葉を吐いては呉れました。
そこで退職の辞令交付式の後、ささやかではありますが妻と2人切りで旅行を
することにしたのです。京都の嵯峨野に旅館を取りましてのんびりと2泊の投
宿をしたのです。
 旅館での夜のことです。
初日の夜は、久し振りに妻を抱いて思い切り燃えようと思って手を延ばしたの
ですが、「今日は疲れているの。ゴメンナサイ」と拒まれてしまったのです。
私はまだ60歳、妻は私より5歳年下ですから55歳なのです。まだまだSEX
は現役と言っても良い年頃なのです。
今日は京都まで新幹線で来て昼食を食べると早速に、京都駅からさほど距離が
ないとは言え三十三間堂や東社寺、八坂神社等を見て回って、歩き疲れたのだ
ろうと考えて、その日は手を引っ込めましてSEXもしないで休んだのです。
次の日は、ゆっくりと嵯峨野を歩いて宿に帰ったのです。
「今日こそは・・・」と思いまして寝る時になって妻に誘いを掛けたのですが
嫌がるので、私は少しどころか大いに不満でした。
結局、この2日間何もしないで寝ています。
 東京の家に帰って来ると、妻が「ご苦労様でした」と言ってお茶を出して
呉れると思っていると、私の前に座り「離婚をして下さい」といきなり切り
出して来たのです。
今流行の熟年離婚と云う奴です。私は寝耳に水でした。
道理で考えてみると、この旅行でもSEXを拒んだりよそよそしい態度であっ
たと思い当たるところが多いのです。(続く)
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