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小説 舞の楽園 ( したたかな女 )

       「 したたかな女 」(20)
息子の専務は驚きました。そして強く反対したそうです。
「このような同性愛は世俗的に見ると可笑しなことですから当然ですわね」と
たか子は女言葉で言い苦笑いをしておりました。
息子は父親のたか子に「相手の人の名前を聞かせてくれ」と迫って来たのだそ
うです。
たか子は私から見ても、人間的に見ても嘘は到底着けるような人間ではありま
せんから、困ってしまったことは想像に耐えません。
ここまで話したのだから、全部話した方が気が楽になる。肩の荷も降りて開き
直ることも出来るのじゃないか・・・と、たか子は考えたようです。
渋々ながらも、私の名前を出してしまったようです。
「ゴメンナサイネ。貴男の名前を出したくは無かったのですが・・・息子の
追求が厳しくて・・・どうしても言わないと許しては貰えなかったもので・・
・ ・」
たか子は本当に済まなそうに謝っていたのが、とても印象的でした。
当時の私は彼女の会社に相談役として週に2~3日は出勤していましたから
息子の専務を知っています。そして、専務も私のことは当然知っております。
そして私達の関係は悪くはありませんでした。むしろ、信頼が置ける人物だと
思っていたようです。
彼は非常に驚いたようです。
むしろ「私を『清潔な人物』だと思っていたようですが、そのような人間臭さ
を持ち合わせていたのかと私を見直した」・・・と後で語っておりました。
そして、「私のような人間が父の彼氏だと知って安心したことも事実です」と
笑って言っていました。
「彼と一緒に生活をしたい。彼と生活をするためだったら、何もかも放り出し
て彼のところへ行く」
たか子は息子の前で宣言をしたそうです。
社長であるたか子がそんなことをすると困るのは息子の専務であります。こ
のまま社長になったとしても、どのように会社を運営して行くのか解らない
ことの方が多いのです。
途方にくれた専務である息子はとうとう「藤井さんとの交際は認めよう」と
折れたのです。
「しかし、条件があります」と言い出したそうです。
「社長になるためには、もう少しだけ準備期間が欲しい」・・・・と
息子としても、自分の父親が男性と同棲をする、それも女性として男性の妻
のような形で暮らすことは世間に対して知られたくは無かったと私は思うの
です。
福井に居住を移した私は気が付かなかったのですが、たか子が息子の専務に
打ち明ける以前にもたか子の躯は女性への変化を始めていたようなのです。
私が女から男へ変化したあの日以降、たか子は女性になろうとしたと言って
います。東京の病院で女性ホルモンの注射を受けてピルを飲んでいるような
のです。
たか子は相変わらず月2度ほど東京へ出張と称して出掛けていました。そ
の内の1度は私も同行してホテルに宿泊して、気分を変えてSEXを楽しんで
おりましたが後の1回は就いては行かないのです。(続く)
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