fc2ブログ

記事一覧

小説 舞の楽園 ( したたかな女 )

       「 したたかな女 」(21)
私が一緒に行かない1回は如何しているかと思ったこともありますが、浮気を
している様子もありません。独りで東京へ行った時には疲れているであろうに、
帰って来ると必ず私のマンションを訪れるのです。そして私を誘惑するような
素振を見せて私の求めに応じます。フィニシュを迎える時などは異常な燃え方
をするのです。
あの年でそう言う燃え方をすると言うことは連日では出来ないだろうと、私は
思って下種な勘ぐりは止めたのですが不思議感は残っておりました。
たか子の肉体の改善は東京の病院へ行って女性ホルモンの注射を打って貰うため
であることは現在は判りましたが、この時は疑問に思っていたものです。
 たか子が息子に白状してから後に息子の専務は、たか子と私の肉体の関係を
知りながら、私には自分が知っていると言うことを悟られないように今までの
関係を続けていたのです。
どうも私を密かに注意深く観察していたようです。そして同時に父親のことも
詳しく観察していたのです。父親の肌の感じが以前とは違っていることに気づき
ました。以前よりも女性化していることに気がついたのです。
私も彼女の肌がより白くなってみずみずしくなって、女性の肌のようになって
来ていることに薄々は気づいていましたが、私は彼女に女性に成って貰いたい
と思っていましたから、問い質すことはしませんでした。
しかし、息子は父に問い質したのです。
たか子はもう息子には何もかも話しておりますので、それに息子に対しては開
き直っておりましたから怖いものは無いのです。女性ホルモンを注射していて、
ピルを飲んでいることを話したそうです。
 息子は改めてショックを受けたようだとたか子は申しております。
男同士で肉体を愛し合うと言うことは、当然男役と女役があるということは知
っておりますが、改めて自分の父親が女役で肉体に私を受け入れていると言う
ことを再確認したのだと思います。
父親が女性ホルモンまで接種して女になりたがっていることを知ったのです。
でも、ここまでになってしまったらばここまでの事態もこれからのことも、父
親と私との関係は何も変らないであろうと思ったようで黙って考え込んでいた
そうです。

 たか子は会社の人にももち論取引先の人にも、気づかれないように息子に跡
を継がせて引退しようと考えておりました。
世間の常識から外れた自分の行動を噂にならないうちに会社を退いて、自分は
会社の経営には一切ノータッチと思っているようです。もち論会社には会長職
も置かないし、ましてはたか子自身がその地位に就こうなどとは考えてもいな
いのです。
そこで、仕事の上では専務である息子を社長にしたとしても、まだ頼りないと
考えたのです。そこで、私に相談役として会社に残って欲しいと言い出したの
です。
 「息子はもう全て知っているのよ」
彼女は以上のことを私に話してそう言いました。
私は全ての話を聞いて驚きました。そして、固まってしまったのです。(続く)

スポンサーサイト



コメント

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

舞

Author:舞
FC2ブログへようこそ!