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小説 舞の楽園 ( トルコ10日間 )

   
         トルコ 10日間   < 2 >
   トルコ航空の機内で今の彼氏とお知り合いになりました。
 実直な公務員と云った感じの私とは異なって、50代半ばの彼は如何にも商売人と言った
 風情でした。
 160cm、60kgの私とは違って、彼は大柄で175cm、75kgぐらいはありそう
 です。短い髭を顎の下に蓄えた一見強面に見えます。
 服装も、着ているシャツ等も高価そうで、よく言えば凄く旅慣れている人、悪く言うならば
遊び人と云った格好をしていました。
今朝剃ったと思われる顎を除いた髭剃り跡も凄く青々としておりまして、白く体毛も少ない
私としましては羨ましく思ってしまいました。幼い頃より「女に生まれて来た方がよかった
のじゃないか・・・」と言われ続けていた私としては・・・です。
あっ、男性と言えば・・トルコの若い男性は皆さん髭も濃く、ハンサムなんです。
女ならば『抱かれて見たいわ・・』と思われるほどなのです。高士さんにオンナにされた私
ですが、彼がもし傍に居なかったら「わたしも抱かれて見たいわ・・・」と思っていたので
は無いでしょうか・・・

 成田空港の今回のツアーで行くことになっている皆さんが集まっている場所で彼を見て、
勿論初対面で言葉も交わしていませんでしたが、私は『余り深くお付き合いはしたくない・
・ ・・』と思ったのです
来ているお洋服が垢抜けているせいばかりでは無く、彼に危険なものを感じていたのでは
ないか・・・と思うのです。
でも、妙に気になっていまして、皆さん初対面であるツアーの人達と明るく冗談を言って
いる彼をチラチラと見ていたことは事実です。


 トルコ航空の機内では私は通路側の座席でした。
「ここですよ。ここ・・・万田さんでしょう・・・?」
キョロキョロと座席を探していると、もう先に座席に着いていた彼が私を手招きしています。
「あっ。・・どうも・・・スイマセンネ・・・」
笑顔を見せている彼に幾ら危険なものを感じていたとしても、素っ気無い態度は取れません。
彼が示してくれた隣の座席は挨拶をしまして座りました。無論コンフォートタイプですから
一般クラスとは違ってユッタリとしています。
「万田ですが・・・如何してわたしの名前を・・・?」
「万田さんでしょう?」と言う彼に、名前を名乗った覚えが無い私は尋ねました。
「なあに・・・簡単なことですよ。添乗員に聞いたのですよ。『僕の隣に座るのは何方です
か・・・?』ってね」
「12時間も乗るのですから・・・退屈しないようにお話でもして行きましょうよ・・・」
彼は笑顔で言っていました。その笑顔は見ている人を和ませるような笑顔なんです。『彼は
見てくれとは違って、悪い人では無い・・・』と私は思いました。
それから約12時間。彼とおしゃべりをしたり、時にはうたた寝をしてりして過ごしたの
です。会話上手な彼は私を退屈させませんでした。

 彼は『峰 高士』と名乗りました。
52歳。「生活雑貨の輸入品を扱って、それをインタネットで販売する会社を経営している」
と云う話です。
「小さな」会社で僕を入れて4人しかいないのですよ」と彼は笑っていました。
「今回も会社の商用で行かれるのですか・・・?」
「ええ!でも・・・半分は商用、後の半分は観光です。遊びながら、何か珍しい物でも無い
か?と思いまして見に行くのです・・・」
「あっ、半々だと言いましたが1/4 が商用で、3/ 4 が遊びですかね・・・?」
私が聞きますと、彼は笑って答えまして先程のユニアンスを訂正しています。(続く)
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