小説 舞の楽園 ( トルコ10日間 )
- 2019/03/09
- 00:29
トルコ 10日間 < 22 >
「俺のところに来いよ。俺の嫁さんになって、2人で輸入品の雑貨を売る商売をしよ
うよ・・・」
「今は小さな店だけど、いずれは大々的に世界中の珍しい物を売りたいとおもっているん
だ・・・手伝ってくれるよね・・・」
小さな現実に満足している私と異なって、彼は夢を持っています。その夢の中に私も加わ
るように誘っているのです。それも・・・奥さんとして、私のことも考えてくれているの
です。
「ええ・・・こんなわたしでも・・・いいのかしら・・・?」
感激した私は初めてと言ってもいい高い女言葉を使って、媚びています。
「万子。お前でなければ・・・ダメなんだ!」
「成田空港でお前を見た瞬間に、俺は自分が欲情しているのを覚えたんだ。今まで商売女
を抱いたことがあるが、俺のものは起立をすることがなくなってしまっていたんだ。年を
取ったから・・・と考えていたんだが・・・それが万子を見たとたんに大きくなっている
んだ・・・」
「不思議だったよ。俺はHOMOではないと自覚していたが・・・男姿の万子を見たとたん
だったんだものな・・・万子を女として抱きたいと熱望したんだ」
「そして・・・万子の隣の席だと知ったときは、小躍りしたよ・・・」
「お前のおっとりした話し方も気に入った。この男性を女性にしてしまおうと、飛行機の
中で考えていたんだ」
情熱的な口付けを繰り返しながら、彼は一方的にしゃべっています。私は彼の胸に抱かれ
ながら喘いでいました。
「幸いにして、万子を女にすることに成功した。万子も俺のオンナになることを承諾
してくれたんだよね・・・?俺には女になった万子を幸せにする義務がある。俺の嫁さん
になってくれ・・・!」
私が彼を見上げて頷くと、彼は大真面目で求婚をしてくれたのです。
「もう万子を独りにさせたくは無い!俺と一緒になってくれ!」
『ベッドの上のこんな形で求婚するなんて・・・フェアーじゃないわ・・・』と思ったの
ですが、彼は真剣そのものでした。
でも・・・でもです。
私には1人息子がおります。息子はアメリカで世帯を持って生活をしておりますが、何れ
は日本に帰って来るかも知れません。
息子が帰って来て、高士さんのオンナになった私を見たら如何おもうでしょう。しかも、
高士さんのお嫁さんになってしまった私を知ったらば、何を言い出すか解りません。
それを考えると、今「お嫁に来い」と言われても、即答は出来ません。
考えなければならないことは沢山あるようです。
大好きになってしまった彼に求婚されて、有頂天になっている暇はないようです。
「今のままではいけませんの・・・?。日本に帰ってからも・・お付き合いをいたし
ますことよ・・・」
そう聞いた私の声は女のイントネーションでした。
「俺は女になった万子を抱きたいんだ!化粧をして完璧に美しい女になった万子をね・・」
彼の拒絶です。
「美しい女になった・・・」と言う彼のバリトンの声が、今女にされたオ〇ンコの奥の
快感の記憶を揺さぶっています。(続く)
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