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小説 舞の楽園 ( トルコ10日間 )

   
         トルコ 10日間   < 23 >
  「どうせ、団地では女装は出来ないんだろう?それならば、思い切って人生をリタイア
 して見ないか?完璧な女になって、俺のところに来ればいいじゃないか・・・?俺の家は
 1階が店舗になっていて、2階は俺1人なんだ・・・」
 「あっ・・・そうか。アメリカにいる息子さんのことが心配なんだな・・・?そうだよな
・ ・・父親でと思っていた人が女になってしまったのだからな・・・。でも、バレたら
バレタで仕方がないんじゃないか・・・?開き直るより無いんじゃないのか」
困った顔をしている私を見て彼はそう言ったのです。決して面白がっている風には見えま
せんで、本気で心配しているようです。
しかし、たった1人の肉親である息子にだけは、私が女になってしまったことは知られた
くは無いのです。
幸いにして、息子はアメリカ人の奥さんを貰って向こうで世帯を持っているのですが、商社
の在任期間が終わると帰ってくるかも知れません。帰って来た息子が女になった私を知った
らば、怒って勘当されるかも知れません。

 「今、お答えしなければいけませんかしら・・・?」
結婚は兎も角、同棲することを考えなくてはならないようで、彼を見上げて聞きました。
「そうだな。どうせなら・・早い方がいいだろう。近いうちに結論を出してくれ!
心ならずも媚びを含んだ私の眸を見て、彼はまた私を抱きしめてキッスをしてくれたので
す。
私は人生をリセットしなければいけないようです。

   < イスタンブール観光 >
 朝食を食べてから出発までの間、時間がありましたのでホテルの外に出まして写真を撮
りました。
服を来た彼は非常に紳士なのです。ベッドの上の裸の彼とは似ても似つかわない優しさな
のです。男姿の私をテレも無くエスコートしてくれるのです。
朝食のバイキングの食堂でも、年上の男性であることをつい忘れて、女になって女言葉を
使ってしまいそうになることが何度もありまして、私は焦ってしまうほどです。
「女言葉を使って欲しいけれど、男姿の時は女言葉を使ってはいけない・・・」
彼との約束です。

 今日1日は見処の沢山あるイスタンブールを旅行社が用意してくれた専用バスで見学で
す。
イスタンブールと云うのは、旧市街と新市街に分かれている古い古い街なんです。
まず、30分ぐらい走ってブルーモスクへ行きました。意外と小さな街なのですね。
写真で見たブルーモスクとは外見だけです。私は『外見だけが青いのか』と思っておりま
したが、外側は意外と白っぽい感じなのです。しかし、内部に入って内側を見ると、目の
醒めるような美しいブルーのタイルと青いデザインのステンドグラスで埋め尽くされてい
るのです。お日様の光が青いステンドグラスを通して本当に美しいのです。
モスクへ入ったのは私は初めてですが、広くって円形の天井が高くて、大広間になってい
まして、それが全部ブルーなのです。
「王妃の為に王様が建立した」とガイドさんが言っていましたが、いかに王妃を愛して
いたのかと言うことが推測出来るような美しさなのです。
女になってしまった私としましては、『王妃様は王様の愛を独占しているのだわ・・・』と
ちょっと王妃様を羨ましくなりました。(続く)
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