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小説 舞の楽園 ( トルコ10日間 )

   
         トルコ 10日間   < 35 >
  
     < 6日目 >
   今日は朝が早いのです。
 4時30分に起きて、カッパドギアの気球遊覧ツアーなのです。気球に乗るツアーは
オプションでした。
「気球にお乗りになるのでしょう・・・?」
『カッパドギアに来たからには気球に乗らなければ、トルコに来た甲斐が無いでしょう』
と思っている私は、前日に彼に聞いておりました。
「いや、乗らない!高いところは苦手なんだ・・・!」
彼はキッパリと言っています。こんなに大きく立派な身体をした男らしい彼が、高いところ
が苦手なんて・・・信じられません。
「乗りましょうよ。ネエ・・・お願いだから・・・一緒に乗って・・・」
それを聞いた時に、高所恐怖症の今の彼に対して優位に立っているのを実感しました。高士
さんにも苦手なものがあったなんて・・・新鮮な発見でした。
いつも2人で居る時は、高士さんに甘く苛められていることに対する復讐みたいな気持ちに
なっていました。私は甘えて彼に申しています。

 「オプションも申し込んでいないし・・・な」
「気球に乗りたいと言って申し込みをして来て上げるから・・・一緒に乗って・・・」
そう言って渋る高士さんを説得したのです。その時の私の言葉は柔らかな女言葉でしたが、
彼の弱点を見つけたせいか、より親密な気持ちになっていました。甘やかなやや砕けた女言葉
でした。
結局、高士さんは折れて下さって気球に乗って下さいました。無論、オプションの気球に乗る
費用は私が負担したのです。

 気球が大空に浮かんでいる写真がカッパドギアの紹介の写真の1番です。その写真からも
お分かりになると思いますが、カッパドギアと云うのは峡谷の中にあります。
まだお日様が出る前で暗闇の中、小型のバスに乗って気球の乗り場まで行きます。総勢は8人
だけです。 
夕べの夕食の時に、「気球に乗る人」と言ってガイドさんが最終確認をしていましたが、約半
数の方が乗らなかったのです。
大体は、奥様の方が気球に乗って見たい方ですが、ご主人様の方が渋っていたようです。男
の人って高い所が苦手な方が多いのでしょうか・・・?
隣の席に座っていらしたご夫婦なんかは、「絶対にいやだ!」とご主人様が言っているのが
聞こえました。

 真っ暗闇の中、バスはホテルを出まして、気球乗り場まで暫く走りました。盆地の底の
広場のような所から気球は上がるようです。
気球をガスバーナーで暖めた空気を送り込める所から見せてくれます。気球にも大きさが
色々あります。私達の乗った気球は大きい方で直径が40mもあるのです。
熱せられた空気を入れ気球が膨らんで立ち上がると、その下に吊り下げられた篭に私達が
乗り込みます。辺りはまだ真っ暗です。
この篭は葦製で、長さが1・5m、幅が50cm位の篭を幾つも結んで1つにしてあります。
深さも1・2m位あります。
搭乗者はその篭の中に入るのです。総勢は20名位は乗れるのだそうです。篭は立って入
ると、もうすれ違うにも苦労するぐらいの大きさなのです。
胸ぐらいまである篭ですから、捕まっているので怖さはありません。
私達だけではなく他のグループの人達も同じ気球に乗りましたので、14~5人は同じ気球
でした。
脚が悪い私は係りの人に抱きかかえられて、篭の中に入りました。・・・と云うよりも、放
り込まれた感じです。女の方は皆そうして貰っていました。(続く)
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