小説 舞の楽園 ( トルコ10日間 )
- 2019/03/26
- 02:12
トルコ 10日間 < 39 >
お話が前後してしまいました。
その後、アンカラの夜は精力絶倫の彼は3回も愛してくれたのです。
「日本に帰ったならば、俺のところにお出でよ」
「結婚をしよう。何処か南の島の教会ででも、結婚式を挙げるんだ!2人だけでね・・・」
眠る前に彼は言っております。
私は嬉しくなって、彼の胸に縋り付いています。今夜は女の憧れの白いウエデングドレス
を着た私が夢の中に出て来そうです。
< 8日目 >
今日はアンカラからイスタンブールまで飛行機です。約1時間ぐらいのフライトですから
東京と大阪ぐらいの距離だと思われます。
イスタンブールから6日間乗って来たバスは、どうやら反対周りのトルコ旅行に使うらし
いのです。お世話になった2人の運転手さん達はアンカラの出身と云うことで、今夜は
お家へ帰ったようです。今夜は家族水入らずの時を過ごすのでしょう。
アンカラの空港でお別れの時は、「ご苦労様」と皆様お別れをしています。
イスタンブールへ着いた私達一行は午後からバスを乗り継いで、またイスタンブールの
観光です。
キリスト教とイスラム教が融合しているアヤソフィヤを見学しました。トルコは、特に
イスタンブールは或る時はキリスト教が支配をして、、或る時はイスラムの国が支配をし
ていたのだ・・・と云うことが改めて解りました。
今日のホテルはパラパレスホテルです。
このホテルは旧市街地の真ん中にあり、有名な推理作家のアガサ・クリスティが泊まっ
て執筆をされたホテルだそうです。
100年以上の歴史がある古い建物でしたが、中は改造されていて綺麗でした。
格式のある建築物でしたが、私達の通されたお部屋は大きな道路に面したベランダが
ある8階のお部屋です。道路の向こう側は川が流れていまして、旧市街と新市街とを結
ぶ橋が見えています。
「万子。ベランダに来てご覧!タバコが吸えるらしいよ・・」
お部屋のカーテンを開けてベランダに出た高士さんの嬉しそうな声が聞こえました。
ヘビースモーカーの彼には、今までのホテルでは玄関先まで行かなければ灰皿が用意
されてなく、タバコが吸えなかったのです。それがベランダとは言え、お部屋で吸え
ることがとっても嬉しかったようです。
私がベランダに出ると、確かに灰皿が用意されていました。
ベランダから夕日を見ながら彼はケントを、私は何時もは余り吸わないのですがホテ
ルの気遣いに感謝しながらヴァージニアスリムに火を点けていました。
ゆったりした時間が流れて、彼が2本目を吸い終わると私を抱き寄せてキッスをして
くれました。
今でも、「あのイスタンブールの最後のホテルは良かったな・・・」と彼は言ってい
ます。彼にはベランダで夕日を見ながら喫煙したことがトルコ旅行の1番の思い出
らしいのです。(続く)
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