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小説 舞の楽園 ( 熟れた男達 )

   
         熟れた男達  < 27 >

         { 9 }
     正子は俺のところに居ることとなった。
  正子の話によると・・奥さんは10年前に死んだと言っている。家は埼玉にあり、息子夫婦
  と一緒に住んでいると言う・・
  ある有名な会社に勤めていたらしいが、「余り言いたくはありません・・」とのことであり、
  俺も睦子も詳しいことは聞かなかった・・
  俺達は以前のことは必要は無いし、これからの生活が大切だ・・と思っているからだ・・
  会社を定年で辞めて家に居ると、段々と邪魔にされるようになって来た・・と感じられる
ので、暇さえあれば駅前の将棋クラブに通っている・・と言っていた。

  「・・で、家を出られるの・・かい?」
俺は聞いていた。正子を俺のオンナとしたんだ・・この家に住まわせて、睦子と仲良く暮
らせたらばいいと思っているのだ。
「はい。息子を・・説得して見ます・・わ」
睦子の淹れてくれたお茶を飲みながら、正子は女になっていた。勿論、睦子は女の洋服を
着て、俺と正子は男物の服だが、洋服は着ていた。

  「でも・・睦子さんに・・悪いような気もしますわ・・」
正子は言い出した。彼女は一夫一婦制の因習に捕えられているようだ。
俺も睦子も女房を貰ったことが無いから、妻への愛情が無い。・・だからかも知れないが
・ ・・そこのところが判らないのだ・・
「あらっ・・いいのよ・・旦那様がわたくしを捨てないっておっしゃっていただければ
・ ・。ねっ・・そうでしょう・・?」
先程の乱れようは何処にいったのだろう・・と思うほどにキチンと洋服を着て、お茶を
出した睦子は正子の対面に座っている俺に、隣に置いてある椅子に腰を降ろしながら同意
を求めている。

 「睦子を捨てる訳が無いじゃないか・・。俺の本妻だもの・・大切にするよ・・」
睦子の明るい様子に妻・妾同居の夢が実現しそうな雰囲気になって来たことに、俺は機嫌
がいい・・
俺の隣に座った睦子を行き成り抱き締めて、唇を吸っていた。
さっきは「正子さんが居る前では・・」と言って恥ずかしがっていた睦子も、SEXまで
見せつけてしまって開き直ったのか、大人しく紅唇を俺に預けていた。
返って、正子の方が顔を赤くして俯いてしまったほどだ。

 「あらっ・・ご馳走様!貴女のことを粗末に扱ったら・・わたくしもこの家を出ます
ことよ・・だって・・もし・・そうなったらば・・わたくしはもうここにはいられません
わ・・」
「睦子さんとおっしゃるのね・・仲良くして下さいまし・・ね」
けれども、正子は大人だった。いや・・大人の女だった。睦子を第一夫人として立てる
ように微笑して言っている。
これで・・俺は睦子と云うオンナを失わずに、正子という第2夫人を手に入れたのである。
(つづく)
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