小説 舞の楽園 ( 熟れた男達 )
- 2019/04/29
- 00:56
熟れた男達 < 31 >
息子は何も言ってはいないが、自分の下腹部は真っ白な無毛の男性器が透けて見え
ているし、幾ら女性の言葉を使って女性の態度を取っていても、男性であることはもう
バレバレである。
睦子は恥ずかしそうにそう言うと、次の間の襖の陰でスカートを履きブラウスを着替えて
お茶を出した。
正子と息子は目を合わすことなく黙り込んでままである・・
「あなた・・起きて下さらない・・。下に・・正子さんの息子さんが来ているのです
・ ・」
2階に上がって来て、俺を起こしに来た。
俺はさっきの騒ぎで下階に人が来たことは解っていたが、『まさか正子の息子が訪ねて
来た・・』とは思っても居なかったので、まだ全裸のままでウトウトしていたのだ。
「ゴメンナサイ。あなたに無断で上がって貰っているの・・よ」
睦子はキチンと正座をして膝を揃えて謝ってから話し始めている。
こういうところが賢いし、又、可愛いところである・・
「わたしと正子さんでは・・如何して良いのか・・判りませんのよ。あなた・・起きて、
話を伺っていただけないかしら・・」
「えっ・・?正子の・・息子が・・?」
「そうか!解った・・!」
俺はそう言って起き上がり、パンツとズボンを履いてシャツを着ながら下階へ降りて
いったのだ・・
俺が降りて行くと、息子は先に出されたお茶を飲んでいたが、下を向いたままの
正子とは何も話をしていなかったと云う雰囲気だった。
正子を見ると、『こうなってしまったからには・・息子に恥を晒す』覚悟は決めたよ
うだ・・
「紹介するわ・・ね」
もうスッカリ女になる覚悟を決めたような正子は女らしく言うと立ち上がった。
「こちら・・保雄さん。わたしの旦那さま・・よ。こちらの方が・・睦子さん。
旦那様の奥様よ・・」
「わたしの・・息子です・・」
流石に、完全に女になっている正子も、自分がお妾さんであることは、言えなか
ったようである。
「どうも・・池端です」「睦子と申します・・」
「私は本間正雄と申します。父が・・お世話になっているようで・・」
彼はいかにも官僚らしく、キチンと立って90度に身体を曲げて挨拶をしている。
俺が「どうぞ・・」と促すと椅子に腰を降ろした。
チャランポランな俺はキチンとしたこう云う人間は苦手であったが、『可愛い正子
の為には仕方が無いか・・』と考えて対応していた。
「父が家を出る時には・・何も言ってはくれませんでしたので・・今日お訪ね
した次第です。まさか・・こんなことに・・なっているとは・・少しも知らなか
ったのです・・」
俺と左程年も違わぬ息子は、正子譲りの色の白い顔を流石に朱くして言っていた。
正子に色の白さと顔の輪郭は良く似ているが、もう少し男らしい顔だ・・(つづく)
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