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小説 舞の楽園 ( 私の旦那様は弟の親友 )


          私の旦那様は弟の親友  ( 5 )
   会社がお休みの日は1日中。平日でも夜は女になっている私でも、父母には女になって
 いることは内緒なのです。
 もし、父母に知られたならば、父や母は嘆き悲しむと思うと、知られないように細心の注意
 は払っておりました。
 幸いにして、父母はお蕎麦屋さんの仕事が忙しくって、私のところに顔を出すことはありま
 せんでした。しかし、姉は私の女装癖を知っております。それは当然です。
 私がこんな性格を持ってしまったのも、姉が原因だ・・とも言えなくはないのですから
・ ・・

  家族の中では姉だけには、私の住所を知らせておりましたし、連絡も取っておりました。
 もっとも、姉は私を女装させることに、今は全く興味を無くしておりまして、結婚前に2
 ~3ど私のマンションを訪れたのを最後に訪れてはいないのです。
 あっ・・姉は私が24の年に結婚しまして、旦那様と一緒に実家のすぐ近くに1戸建ての
 アパートに落ち着いています。
 もう結婚して2年が過ぎようとしていますので、「子供が欲しいわ・・」と言っておりま
 す。
 兎に角、私の周りには男の影さえも無かったのです。


        < 突然の訪問 >
  長々と前書きを書いてしまいましたが、これからが本論です。

  当時28歳になった私は9月だと云うのに、大風邪を挽いてしまいました。酷い風邪
 でして、無論会社もお休みをしまして3日も寝込んでしまったのです。
 今で言うインフルエンザかも知れませんが、当時はそう云う言葉すら無かったと思いま
 す。
 風邪を挽いて3日目でと思いますが、市売のお薬も全部飲んでしまいまして、お医者様
 へ行きたかったのですが、熱が高くて外出する気も起きなかったのです。
 唯一、昔の私の生活を知っている姉に「薬を届けて欲しい・・・」と電話をしたのです。
 お風呂にも入っていなくって、男の恰好でも他人の前には出たくはなかったのも一因
 だったと思います。
 姉ならば、以前私の部屋に来たこともありますし、部屋の様子も知っておりますので、
 姉にSOSの電話をしたのです。

  私の部屋はとても男性が一人で住んでいるとは思えない部屋なのです。
 室内装飾から何から何まで、まるで女の子の部屋になっているのです。私の性癖を知っ
 ている姉以外の人が訪れても、驚くような女の子の部屋になっています。
 しかし・・姉にSOSの電話をした時には、『このまま死んでしまうのじゃないか・・』
 と思うほど熱も高く、電話のところまで数歩の距離でしたが、行くのが大変な状態で
 した・・
 
姉は私からのお願いの電話を受けて驚いて、心配になったのです。
 直ぐにお薬を届けようと思ったそうですが、直ぐには逝けない仕事がありましたので、
 やむを得ず当時高校2年生の弟に「理人のところへ薬を持って行くように・・」と頼ん
 だのです。
 その時には、姉は私の部屋の様子を知っておりますから、弟を部屋まで来させるのでは
 なく、「下階の管理人さんの部屋まで薬を届けて欲しいのよ・・。理人はお医者さんの
 ところに行っていると思うから今は居ないと思うわ・・頼むわね・・」と頼んだらしい
 のです。
 「弟にも、私の女装趣味は内緒にして置いてやりましょう・・」と云う姉の暖かい心境
 です。(つづく)
  

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