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小説 舞の楽園 ( 私の旦那様は弟の親友 )


          私の旦那様は弟の親友  ( 22 ) 
  敬様は本当に努力家なんです。
 私がSXEで疲れ果てて眠ってしまっても、彼は私の机で受験勉強を欠かしたことがあり
 ません。
 目覚めた私がお夜食を作って持って行っても、彼は勉学に励んでいるのです。
 兎に角、敬様は若いのだと・・思います。
 あれだけ、私が疲れ切ってしまうまで激しく私を貫いていながら、その後勉学に励むなん
 て、私には考えられないことなのです。ますます彼を尊敬して、憧れてしまします。

  彼の家庭はお父様を、彼が小学生の時に亡くなられたそうで、お母様が酒場を営業して
 いるのです。彼は一人っ子なのです。
 「お母さんは僕のことは僕がやりたいようにさせているんだ・・」とチョッピリ寂しそ
 うに申していたのを聞いたことがあります。
 考えて見れば、私の家もかなり自由放任主義だったと思うのですが、彼のお母様はそれに
 輪を掛けて彼を自由にさせているようです。
 もっとも、女手1つで彼を育てていてお店を経営されていては、自由放任主義になること
 は止むをえないことだと・・思います。
 良く敬様のように責任感が強い子供に育ったものだと感心しております。

  そう言う訳でも無いのですけれど、敬様は高校の最後の1年間の1/3は私のマンション
 から高校にも塾にも通っていらしたのです。
 私との約束通り、彼はストレートで東大の文理学部に合格しました。
 大学生になるとアルバイトを始めました。彼が通っていた塾の講師です。
 余程優秀な成績で東大に合格したのだと私は思っています。私の弟も東大にはストレート
 で合格はしましたが、通っていた塾からは誘いが無かったのです。

       < 伊豆のホテル >
  翌年の3月の末ですが敬様の大学合格のお祝いに、私は伊豆のホテルの1泊旅行をプレ
 ゼントしたのです。
・ ・とは言っても・・私は旅館と行き帰りの旅行代金を持っただけで、彼にネットでお宿
からバスの手配までして頂きましたが・・・
思えば・・彼と2人だけで旅行するなんて初めてことで、私はウキウキとして当日を迎え
ております。
旅行の当日は、朝も早くから目覚めまして、2人分のお弁当を作りまして、ポットにお茶
を入れてからお化粧を始めています。
私は敬様のオンナとして、旅行に連れて行って貰う積りなのです。
もうその頃には、私の躯は丸くなって、男の印さえ見せなければまるで女でした。『タック
をすれば・・女湯だって大丈夫よ・・』と私は思っておりました。
無論、タックは入念にいたしています。

 東京駅から高速バスで稲取まで直行です。
「いらっしゃい・・ませ」
ホテルに着くと宿の従業員に迎えられて、クロークへ行きます。そして、旅帳に名前を記
入いたします。
敬様がご自分の名前を「早瀬敬」と書いて隣に「妻・理枝」と書いて下さったのです。そ
れも、敬様はちっとも考えることなく驚くほど自然な態度でです。
私は傍で見ていまして嬉しくって仕方がありませんでした。クロークのボーイさん達の
目さえなければ、キッスをして差し上げようかと・・思ったほどです。
でも・・恥ずかしくって、そんなことは・・出来ませんでしたが・・
私には彼の本気度を知った一瞬でした。(つづく)
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Author:舞
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