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小説 舞の楽園 ( 私の旦那様は弟の親友 )


          私の旦那様は弟の親友  ( 27 ) 
  「あらっ。知っていたわよ・・。だけど・・今は女になっているのでしょう・・?
 わたしね・・こう云う商売をしているでしょう・・。男と女の恋愛もたくさんみてきたわ。
 だから・・男と男の恋愛だって・・わたしは偏見を持ってはいない・・わ。ましては・・
 理枝さんは今は女なのでしょう・・?」
 お母様はニッコリと笑うのです。
 私は「世の中には・・こんな考え方の人もいるんだわ・・」と感心してしまったのです。
 けれども・・お母様の考え方は世間一般の人達よりも、ず~っと急進的なのです。ホモや
 レズに対しても偏見などを持たないのです。
 お母様のレズ行為に私が巻き込まれてしまったことは、後でお話します。

 「けれどもね・・」
 お母様はソファーに並んで座っている敬様と私とを等分に見ながらおしゃるのです。
 「結婚は急がなくってもいいと・・思うのよ。敬ちゃん。あなたは大学に入ったばかり
 でしょう・・? 収入はバイトだけ・・ね」
 「4年間、頑張って・・勉強をしなさい・・!そして・・就職をしてからだって結婚は
 遅くはないわ・・・」
 「それから・・理枝さん。実は『理枝さんと会ってくれないか・・?』と敬から連絡が
 入った後、あなたのお母様にお会いして来たのよ・・。あなたのお母様の理佐子さんと
 は同じ高校の先輩・後輩なのよ・・。勿論、わたしの方が後輩で可愛がって貰ったわ・
・ ・」
お母様はその頃を思い出したのか、遠い瞳をして笑みを浮かべました。

 私はまたまた驚いてしまいました。
私の母と敬様のお母様とが昔からの知り合いだ・・なんて、ちっとも知らなかったの
です。この世の中は狭いものだわ・・と思っていました。
「敬に女の人が出来たことは、薄々知っていたわよ・・敬に聞くと『北原君のお姉さ
んだ・・』と白状したわよ・・」
「初めはあなたのお姉さん・・かと思ったのよ。けれども・・お姉さんは結婚してい
るし・・。敬に聞いても『北原君のお姉さんだ・・』としか言わないし・・北原さん
のところは貴ちゃんに2人のお姉さんが居るのかと・・思ってしまったわ・・」

 敬様と私の座っているボックス席の対面にすわっていらっしゃるお母様は灰皿を引
き寄せて、メンソールの細いタバコに火を点けて、煙を吐き出しながらおっしゃい
ます。
それから・・脚を上げて膝を組みました。
紫のドレスのスカートが捲れあがって、白い生足が奥まで見えています。パンティが
見えそうなほど短いスカートに白い生足は、女になった私にもドキリとするほど色っ
ぽいのです。
私の彼は何時ものことらしくって平然としておりますが、私は目を泳がせてしまって
おります。
いかにも・・銀座のバーのママさんと云ったお母様のその態度に、私は圧倒されて
いました。その時の私の頭の中には、『敬様とお母様とは・・わたしを女として扱って
くれるのだ・・わ』と感謝の気持ちで一杯でした。(つづく)
 
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