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小説 舞の楽園 ( 私の旦那様は弟の親友 )


          私の旦那様は弟の親友  ( 29 ) 
   「敬様と婚約をしたのよ・・。今日はその報告・・」
 度胸を決めた私は、ちょっとの恥ずかしさの中に女としての誇らしさを込めて答えていま
 す。女にとっては、婚約と云うのは誇らしいのです。
 「貴広。悪い・・・。お姉さんとのことを・・黙っていて・・・」
 敬様は片手を上げて拝むような仕草をしまして、弟の貴広に謝っています。私のことを
 「お兄さん」ではなくって「お姉さん」と言っています。
 敬様は、私のことを男性だとは思っていない、堂々たる態度なのです。
 これは・・後に知ったことですが、敬様はあくまでも私を女として扱って、その態度に
 私の家の者は、私を女として認めざるを得なかったのです。
 敬様のその態度と行動に私は感銘を受けますと同時に『わたしはあくまでも女なのよ・
・ ・』と思うようになりました。
私は親不孝な娘、いえ息子だと思ったようですが、迎え入れてくれました。
 「婚約したのよ・・」と云う私の言葉に驚きの表情を隠せない姉と弟を残して、敬様と
 私は両親の居る居間に入って行きました。
 「お久しぶりです。早瀬敬・・です」
 両親は私独りで来るものだと思っていたらしく、敬様と女になった私が彼の後ろから
 お部屋に入って行くと訝し気でした。
 座ると敬様は早速おっしゃいました。
 「理枝さんを・・僕に下さい・・!きっと幸せにいたします・・」
 敬様は私の両親をまえにして、凄く緊張しておりましたが、はっきりとした口調で申し
 ました。

  両親は完全な女性の姿で私が現れたことにも驚きだったと思いますが、弟の学友でも
 ある敬様が結婚の意思表示を示したことが、大層驚いた見たいです。
 2人揃って目をパリクリさせて、口が開いたままです。
 「いいんじゃないの・・敬ちゃんだったらば・・きっと理人を幸せにしてくれるわよ・
・ ・」
父親の右隣に座った姉が助け船を出してくれたのです。
前から私の女装癖を知っている姉は、私が完全な女になって現れたことで、『もうこう
なったらば・・何を言っても無駄だわ・・』と思ったのです。
父と母を説得役に廻っていました。

 「だって・・理人は男だぞ・・!結婚なんて・・出来るはずが無い・・・」
「それに・・理人は敬さんよりも・・12も年上なのよ・・」
父と母は、私が女装して女になっていることは以前から薄々気が付いていたようです。
それに・・・昨日姉に知らされて『やっぱり・・・』と思ったようです。『女になった
ことはもう如何ともし難い事実なんだ・・・』と思ったようです。
でも・・・こうして、男と一緒に結婚の約束の承諾を得ようとしているなんて、思いも
しなかったようなのです。
父も母も困惑し切っているように「常識的」なことを言っていました。(つづく)
 

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