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小説 舞の楽園 ( 私の旦那様は弟の親友 )


          私の旦那様は弟の親友  ( 38 ) 
   それから1時間半も掛けて、お店の中を徹底的に掃いて、テーブルとソファーを拭い
 て、トイレまで綺麗にしました。明日からは新人の私の仕事です。
 5時になると、バーテンの男性が出勤です。このお店では唯一の男性です。
 「後で正式に紹介するけれど・・こちらがバーテンダーの高橋さん。あたしの娘になる
 北原理枝さん。素人だから・・当分の間はレジをやってもらうわね・・可愛がって・・ね」
 「北原理枝と申します。風俗のお仕事は初めてなので・・宜しくお願いいたします・・」
 バーテンの高橋さんは40前後の背の高い痩身の方で、ちょっと気難しそうな方です。
 高橋さんは軽く頭を下げて、「理枝さん・・?宜しく・・ね」と言ったっきりで、カウン
 ターのなかを清掃を始めました。

  最後に更衣室の中を清掃していると、女性の方が2人入店して来ました。
「ちょっと・・・着替える前に・・こちらに集まってちょうだい・・」
 ママさんが全員を呼んでいます。
「こちらが・・今度お店を手伝ってくれることになった北原理枝さん。息子の婚約者よ。
 こう云う仕事は初めてなの・・・お店ではお会計をやって貰う・・わ・・」
「さっき・・ちょっと紹介したけれど・・バーテンの高橋さん。お会計の金額などは高橋
 さんに聞いて・・ね。」
「それから・・こちらが緑さん。好佳さん・・宜しく・・ね」
 何時の間にか、背中が丸見えで、肩紐が細いビーズで出来たロングドレスに着替えた
 ママさんが私を紹介してくれています。ママさんは紹介には慣れているようです。

  流石に銀座でお店を経営しているだけありまして、貫禄も充分です。
 暗いお店の照明で、黒のロングドレスから出ている肩先も背中も白く光って見えており
 ました。バッチリとお化粧もきまっておりまして、豊満な身体にはロングドレスがとっ
 ても似合っております。
 2人のお姉様達も、「緑で~す。よろしくね・・」「好佳です・・」と自己紹介をして
 おりました。
 どちらのお姉様も明るい人柄みたいです。
 私は内心では、『虐められるのでは・・ないかしら・・・』と思って心配しておりまし
 たが、杞憂に終わりそうです。

  カウンターの外側の壁やテーブルの裏側などを拭いていますと、お姉さま達が更衣室
 から出て来ました。
 お2人のお姉様方はどちらも私よりは若いのですが、この世界に入ったのはず~っと
 先輩ですから、私は「緑お姉さま」「好佳お姉さま」と呼ぶこととしました。これは・・
 お母様・・いえママさんから言われましたことなのです。
 お陰様で、お2人おお姉さま達は私に優しく接してくれております。

  6時になりまして、お姉さま方が更衣室から出て参りました。
 いつもならお店の清掃を手分けをしてしましてから、それから着替えるのだそうですが、
 今日からは清掃は私のおしごとになりまして綺麗に清掃が済んでおりましたので、お姉
 様方は時間に余裕があったのでしょう、2人とも髪を上げまして、入念にお化粧をして
 出て来られたようです。(つづく)
 


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