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小説 舞の楽園  ( カミングアウト )

   
         カミングアウト (そうすれば家族) < 12 >
   「早かったね。今日は練習は無かったのかい・・?」
 息子の背中に声を掛けました。車で襲われてから、彼とは会話らしい会話をしてはおり
 ませんでした。
 2人だけになるのが怖かったのです。
 「ゴメン・・夢中になってしまって・・。傷を付けてしまった・・」
 初めて犯されたあの日、帰って来て、洗面所でアヌスの血が付いてしまったブリーフを
 脱いでいますと、息子が入って来まして、脱いだブリーフを慌てて隠そうとしている私
 に謝ってくれたのですが・・
 その後、妻の死や葬儀などいろいろありまして、息子とは毎日顔を合わせてはいたので
 すが、彼は私を犯したことは一言も口には出しおりません。
 無論、私もそのことを口にしてはいません。むしろ・・忘れようと努力をしておりまし
 た。
 如何しても用事がある時には私が声を掛けても、彼からは「ウン」「ウウンッ」としか
 返って来ませんでした。
 もっとも、私は必要最小限の言葉しか掛けてはいませんでしたが・・

  そうしたギスギスした関係を改善したくって、私の方から折れてもいいのですが、
 襲ったことを彼が封印していますので、私の方から言い出すことが出来なかったので
 す。
 それに・・それをブリ返すことで、『もう1度彼が襲ってきたら・・』と考えると恐ろ
 しかったのです。

  アナルオナニーはあの日以来してはいません。
 しかし・・付けられたアヌスの傷が治ってくるにしたがって、硬質で無機質な張り型
 とは異なった生の感触が忘れないられないのです。
 お風呂にはいる度に、傷の具合いを見るために・・と理屈を付けて、ソーと触れると
 ゾクゾォクとした気持ちになり、その感触を思い出すのです。
 『義理の息子とは言え近親相姦に当たる行為を、息子が何時仕掛けて来るかしら・・』
 と云う思いを打ち消すのが精一杯でした。

  「ウン」
 息子は私の方を向いて、相変わらずの短い返事です。
 「今、お母さんに誓ったんだ・・」
 代わって妻の位牌に手を合わせている私に向かって言ったのです。久し振りに「ウン」
 「ウウン」以外の言葉を発した彼は蒼い顔をしていました。
 「何を・・誓ったのだね・・」と問い返す前に、彼に抱き抱えられていました。
 立ったままでギューと強い力で抱き締められて上を向いた私の唇に、彼の唇が被さっ
 て来たのです。
 「イヤァー」と言う暇もありませんでした。(つづく)











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