小説 舞の楽園 ( カミングアウト )
- 2019/11/04
- 18:43
カミングアウト (そうすれば家族) < 31 >
私のお店はお盆の時期だけ、5日間のお休みになるのです。
周囲のお弁当を届けている会社も休業ですので、配達もお休みです。
その5日間は和樹様の塾もお休みですので、何処にも行かずに夫と共にオンナの生活
を満喫しました。
その5日間はお化粧こそ致しますが、2人とも丸裸で過ごすことを決めてのです。い
え、和樹様が提案したのです。
そして・・数えきれないほど私は抱かれたのです。
その最終の夜のことなのです。
「あなた・・」
クーラーの効いた寝室のベッドの上で、腹這いになって煙草に火を点けている夫の背
中に齧り付いた矢張り全裸の私は特別に甘い声で囁いたのです。
今まで考えていたことを言って、夫の判断を仰ごうと思ったのです。
何時の間にか・・夫は未成年ですが、SEXの後は必ず1本煙草を吸うようになって
います。
「なんだい・・?」
全裸の夫はゴロンと寝返りを打って、左手で私の長く伸びた髪の毛を優しく撫ぜてく
れています。
「わたくしね・・もう耐えられなくなって来ましたの・・」
このところ家にあっては常用語となりました丁寧な女言葉で苦しい胸の内を打ち明け
ています。
「わたくしね。女になって下へ行きたいと思うの・・よ」
「フ~ン、そうかい。カミングアウトをしたいんだ・・!すればいいよ・・!」
マジマジと私の顔を見ていた夫はニコリと笑うと、私の苦悩に賛成してくれました。
それも・・優しいこえで・・こともなげにです。
「エッ・・」
驚来ました。。夫が賛成してくれるとは思っても見なかったのです。
若いからでしょうか・・私の悩みの本質を理解しえいるとは思えなかったのです。
「お店に女姿で行ったらば『どうして・・そうなったの・・?」と聞かれると思うの。
その場は適当に誤魔化せても、いずれはあなたとのことが解ってしまうと思うのよ・・」
「ねえ・・お店を閉めて・・何処か遠くに行きましょうよ。そこで2人で暮らしましょ
うよ・・!あなたが大学に入ったら・・わたしは完全な女になるのよ・・」
取り乱した私はとのところ考えていたことを口走っていました。
「そういうことも考えたが・・まず、女になって下へ行ったら・・?」
「俺は構わないよ。『お前と俺が夫婦になった・・』と言っても・・」
私がの案を口走ると、夫はタバコを灰皿に押し付けてから私の躯をギューと抱き締め
て申すのです。
『和樹様も2人の将来を考えていらしたのだわ・・』と思うと突然、目から涙が溢れ
出て来ました。
「何時になったら、頼子が言い出すのか・・と思っていたんだ・・!」
そう申されてポロポロと流れ出る私の涙に唇を寄せていました。
夫の私を想って下さる気持ちとそして夫の優しさに、歓喜極まって大声を出して泣き
崩れてしまったのです。
涙って・・本当は悲しい時より、嬉しい時の方が出るものなのですね・・(つづく))
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