小説 舞の楽園 ( カミングアウト )
- 2019/11/05
- 13:31
カミングアウト (そうすれば家族) < 32 >
「俺と頼子は夫婦になったんだ!苦しいことも悲しいことも、そして楽しいことも
共有して行きたいと俺は思っている!」
「そんなに・・泣くなよ・・」
その言葉で、又、泣いてしまいました。涙で霞む瞳で和樹様を見上げると、夫は優しく
又、力一杯私を抱き締めて下さったのです。
6か月前までは息子だった和樹様は肉体だけでなく、精神も逞しい大人の男性になって
いたのです。もう17歳の子供ではありませんで立派な男性です。
それを感じて私はまたまた涙です。
「女になって店へ出てご覧・・!意外と皆、驚かないで受け入れてくれるかも知れな
いよ・・」
白く火照った私のお尻を撫でながら夫はそう申すのです。
「いいの・・?。でも・・女になった理由を聞かれると思うのよ。なんて言えばいいの
かしら・・?。『男が出来た』と言われると思いますわ・・」
「構わない!俺とのことをバラしてもいい・・と思っているんだ!」
「俺がお前を襲ったんだ。女になれ・・と言ったのも俺だ!非難されるのは俺なんだ!
オンナになったお前は悪くはない・・!」
「近親相姦だと世間の人は言うかも知れんが・・俺は何と言われようが構わない!頼子
お前を愛してしまったのだから・・」
私達が世間に対して一番秘密にして置かなければならない、近親相姦のことを言い出す
と夫である和樹様は決然と申します。
しゃくり上げながら頼もしくなった夫を私は見上げました。
そして・・こんなに逞しい男性になった夫に愛されていることを、誇りに思うことに
したのです。
「明日からは女になって行け!下のオバサン達に何か言われると思うけど・・『俺が
そうしろ・・と命令された』と言え・・!」
「人の噂も75日・・と言うではないか・・噂が無くなるまで2人して我慢しよう・・!
もし・・我慢が出来ないほどだったら・・引っ越しをすればいい・・!」
「案外と・・お前のことを受け入れてくれるかも知れない・・ぞ」
「明日からは女になって行け!」と逆に命令されてしまいました。
夫になった和樹様の命令には逆らったこともございません。私は自分から言い出した
こととは言え、悲壮な覚悟を決めました。
最後に「カミングアウトをおばさん達は認めてくれるかも知れないぞ・・」とおっしゃ
っていましたが、夫は若いからでしょうか、楽天的なのです。
その夜は・・カミングアウトの結果を考えまして、一睡も出来なかったのです。
( カミングアウトーⅡ )
下着姿のままトーストを焼いてスープ入れて朝食の用意をしていると、夫が目を覚ま
しました。
この5日間、「2人共全裸で過ごそう・・」と決めて下着も着けない全裸のまま、襖の
影から現れました。このところ1段と逞しくなった身体の1部を隠そうともしてはい
ないのです。
何時もなら丸裸にエプロンだけを着けた私のお尻に、朝起ちをした怒張を擦り付けて
来るのですが、今日の私はお化粧も済ませてスリップの下にはパンティとガードルを
履いています。
「オッ・・いいな!胸も膨らんで・・これを着て下の店へ行くのかい・・?」
薄いブルーのノースリーブのワンピースが椅子の背に掛けてあるのを見つけた夫がそう
言います。(つづく)
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