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小説 舞の楽園  ( 盗み聞き -12 )

        盗み聞き  -12
 大谷は本当はナイーブな男ではないかと思うほど、先程の遥を脅迫していた
人とは思えないように打って変わって、自分の心情を告白していた。
遥はこの男が好きになっては来たが、そのギョロッとした目だけはいただけな
いと思っている。

 「それ以来、あんたを見守っていたんだ。そしたら・・・」
そこまで言って大谷は言葉を切った。それから先を言おうか言うまいか迷って
いるようだったが、思い切ったようである。
「あんたは隣の夫婦のSEXを盗み聞きして、アナルオナニーをしているじゃ
ないか・・・」
それまで見られてしまっていると思うと、彼の言うことが当たっているだけに
遥は絶望的な気分になって、恥ずかしさもあって真っ赤になって俯いてしまっ
ている。
「俺もパパラッチを自認するカメラマンだ。盗撮はお手のものだ。赤外線カメ
ラであんたの恥態を撮らして貰った。それが今の写真だ」
段々と興奮して来たのか声が大きくなって来ている。『もっと小さな声で・・』
と頼みたいところである遥は、興奮させてはマズイと思うのだが如何すること
も出来なかった。
大谷の目は鋭さを増して、声は再び脅すような口調に戻っている。
そこまで言った大谷は言葉を切った。
フウーと大きく溜息を吐いた。
「もう言うまい・・・賢明な都立国分高校の数学教師だったら、分かるはずだ
からな・・」
自分の勤務先の学校名まで知られているのか・・・・と思って、遥は絶望して
いる。
「今日は帰る! 本当はこんな写真を見せられたあんたを押し倒して姦りたい
ところなんだが・・・今日は帰る!」
大谷は真っ赤な顔をして言っている。きっと興奮しているのであろう。
「明日は学校も休みだろう?俺も仕事は休みだ!もし、俺の申し出を承知する
なら、明日の朝10時に隣の俺の部屋に来てくれ!!」
大谷は立ち上がりながら、何故か帰ると言う。そして、太い目を剥いて『10
時に来い』と言った。
「言っておくが俺は女には優しく接する積りだ!ただし、俺の大きなものを
受け入れてくれたならばだけども・・・だ。待っているよ」
悄然としている遥を見てニヤリと笑った大谷は丸裸で淫らなことをしている遥
の数枚の写真を揃えると、封筒に戻して玄関の方に歩き始めていた。
大谷が玄関を出て、ドアーチェーンを掛けた遥は玄関の床の上に座り込んで
暫くは呆然として何も考えられなかった。
脅迫を警察に届けようかとも考えたが、あの写真がある限り警察に届ける訳
にはいかなかったし、大谷の『女になれ』と云う話の内容が骨董無形で届け
られないと思ったのだ。(続く)

 
 
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