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小説 舞の楽園  ( 盗み聞き -18 )

        盗み聞き  ―18
 「わたしはお給料から実家に仕送りをしなければならないのです。もし、あ
なたの奥さんになっても、わたし働かなければならないのよ。それでもいいの
?」
それは大谷の女になってからの話で、遥は大谷の申し出を承諾したのも同然で
あった。
それも、女装をして完全に女になっても働きたいとの意向を示していた。
「僕ももう直ぐ40になる。僕はしがないフリーのカメラマンだが、貴女が俺
の奥さんになってくれるのなら、貴女は働く必要がない!僕にも貴女を養う位
の力はある積りだ。出来れば貴女の両親も養ってもいいと思っているのだ」
大谷は大真面目になって答えている。
遥は両親まで養ってくれると言っている大谷を頼もしく思い始めていた。
大谷は今まで結婚なんかしなくていいと思っていたが、今では急に結婚願望が
目覚めて来たようだ。そこへ女にしたいような遥が現れたのである。
大谷の呼び名が『あんた』から『貴女』へ変わっているのに気付かずに大谷は
真剣であった。
「それでも家への送金ぐらいは、自分で働きたいわ。ネエ、働かして・・」
遥はこの中年の域に達したいるであろう男に、女の媚態を示して甘えてみせて
いる。
もう大谷の女に成ることを承諾したのも同然であった。

 「僕の願いを聞いてくれたんだね!ありがとう。この写真は貴女のものだ。
ネガも一緒に持って行って下さい」
大谷は何を思ったのか、6枚のキャビネ板の全裸の遥が張り型でオナニーを
している姿が写っている例の写真とフイルムを袋から取り出して、それを遥の
前に差し出した。
遥の話を聞いて非常に可愛そうだと思ったり、女のように媚態を示している遥
の態度に誘惑されたのではないようだった。
「これでもう、貴女と僕は対等になった。こんな僕が嫌いだったら、どうぞ
お帰りになっても結構です。昨日の晩からのことは忘れることにしますから
・ ・・・」
遥は意表を突かれてハッとした。大谷がやっと手に入れかけた遥を手放すよう
な、そんなことを言うとは思っていなかったのだ。呆然として大谷の顔を見る
ことしか出来なかった。
「昨日は『パパラッチを自称するフリーのカメラマンだ』と言って強がったが
あれは嘘なんだ。僕は朝日新聞の専属カメラマンだったのだが、3年前に独立
して事務所を持ったんだ。俺は盗撮なんてしないし、恐喝なんてしたことは
ない」
「あっ、貴女を盗撮して、脅してしまいましたね。あれ1回です。本当なの
です。あのことは謝ります。本当に申し訳ないことをしました。許して下さ
い」
大谷は遥に向って深々と頭を下げている。
遥は大谷の潔い態度に男性を感じていた。この男だったらこの身を任せても
良いとますます思った。(続く)
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