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小説 舞の楽園  ( 盗み聞き -19 )

        盗み聞き  -19
 <このまま帰ってしまおうかしら。もうこの人には負債はないのだし。もし
帰ってしまっても、この人は報復は無いと思うのよ>
<でも、そんなことは出来ないわ。この写真をネガを含めて渡してくれたので
すもの・・・そんなことをすれば、彼の誠意を裏切ることになってしまうわ>
<そんなことをしたら、人間として失格ではないかしら・・・>
と、思ったのである。
そして、自分も正直になろうと思ったのだ。自分の欲望に対しても正直になろ
うと考えたのである。
「いえ。このような恥ずかしい写真を渡していただいて、わたしの方こそお礼
を言わねばなりませんわ。ありがとうございます」
「それで・・・わたしの方からもお願いしたいことがありますの。わたしを
あなたの・・・あなたのものにしていただきとうございます」
遥は大谷に向って女言葉で媚を含ませて言って、丁寧に頭を下げている。
遥はもう迷ってなどいなかった。女になりたいとの欲望に正直になろうとして
いた。
大谷の一見厳つい眸に驚きと共に安堵の光が宿り、ホッと息を吐いた。
大谷も緊張していたのだ。大谷も賭けをしていたのだ。もし遥がこのまま帰っ
てしまったら2度と遥の前には現れない気持ちだった。
大谷の手が恐る恐ると云う感じで、遥の背後から背中に廻ってきた。
それを察した遥は全身の力を抜いて、大谷の懐に倒れ込んでいる。
もう、大谷は怖い人では無かった。大谷の優しさに遥はこの身を任せても良い
と思っていた。
大谷の髭の剃り跡の生々しい顔が迫って来るのを見た遥はそっと目を瞑って
いる。
「この優しい人ならば、わたし好きになれるわ。誠実な方だもの・・・」遥は
頭の中で呟いていた。

 (11)剃毛の跡
 大谷の部屋にあるシングルベッドでも広めのベッドに、遥は丸裸で入って
大谷を待っている。
「家を出る時にシャワーを浴びてきましたのよ・・・」
恥ずかしそうにそう言った遥の言葉に大谷は<来る前から俺の女になると決
心していたんだ>と喜んで、今、シャワーを浴びていた。
「お待ちどう・・・」
頭まで綺麗に洗ってきてタオルで腰周りだけを包んだ大谷を迎えた遥は、恥
ずかしくって仕方がない。額まで夏掛けで隠して身を硬くしてベッドに潜っ
ていた遥はますます身体を縮めている。
無理も無い。幾ら太い張り型を入れて拡張しているアヌスと言っても、生で
挿入されるのはやっぱり怖かった。
遥は自分の男性自身が極小のせいで、男の人とは無論のこと女の人とも同じ
ベッドでは寝たこともなかった。
今こうして、脚をくっ付けて他人のベッドで全裸で寝ていることを考えると
、本当に女になったような気がしていた。(続く)

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