小説 舞の楽園 ( 座敷牢 -3 )
- 2019/12/24
- 01:06
座 敷 牢 { 3 }
会長の遺影にお焼香を済ませて、広い応接間に通されて光子を待つうちに『ヤッ
パリ男の恰好をしてくれば良かったかしら・・』『女の姿では会長の本妻である光子
さんに会いに来る姿じゃなかったのよ・・』と静は思い始めている。
けれども・・会長に囲われて以来、今までの男物の下着も含めた男物の洋服などは
全て処分をしてしまっていた。
マンションのクローゼットにあるのは女の下着や女物の洋服ばかりであった。
そして・・元々女顔だった静の肉体も体毛は全身脱毛をされて、その胸には92c
mDカップの豊かな乳房を作られている。
去勢手術も受けさせられている。
残っている男の印と言えば、今は勃起することが無くなって排泄器官のみと化した
極小の白い男性器の残骸だけである。
そのような身では、男の姿にはなれなくって、女の姿で会長の本宅へ来てしまっ
ていた。
「旦那様がお亡くなりになりました時には、本当にお世話様になりました。本当
にありがとうがざいました」
愛していたが、死亡した剛三に抱いて貰っていた過去のことを、一刻も早く忘れた
かったが、この40代後半の会長の後妻に助けて貰ったお礼を言っている。
「会長の財産分与のこともあるし、貴女に来てもらったのよ・・」
何故か・・楽しそうに光子は言っていた。
「財産なんて・・いりません」
まだ3度しか光子には会ったことは無いが、最初の時に死んだ剛三と交接している
静を見た、汚いものを見てしまったと言うあの蔑むような眼と、憎悪に燃えた葬儀
の時の目は静にとって忘れることが出来ない。
一刻も早く帰りたいのを我慢していた。
それに・・静が今住んでいるマンションは、剛三が生前に買ってくれたもので、静
の名義になっている。
財産などは欲しいと思っていなかった。
「そうはいかない・・わよ!貴女の身体のこともあるし・・」
「ねぇ・・」
光子は申し合わせたように応接間に入って来た林に向かって目配せをしている。
「はい・・奥様」
180cmを超えると思われる大男で、ガッチリとした体格の林はス~と静の背
後に回り込み、160cmしかない華奢な静を羽交い絞めをして来たのだ・・
(つづく)
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