座敷牢 -10
- 2019/12/30
- 14:37
座 敷 牢 { 10 }
( 4 )
大男の林は、静が今受けた折檻で立って居られなくなった・・と判断したようで
ある。
横座りに崩れてしまった丸裸の静の身体を軽々と肩に抱きあげて、奥へ歩みを始めた。
まるで・・大人と子供ほどの力の差だ・・。
担ぎ上げられて足を跳ね上げて抵抗しようにもあがらうことが出来なかった。
真っ白なお尻を晒した静を肩に担ぎあげた林は廊下をズンズンと歩いて、突き当りの
襖を片手で開けた。
驚くべきことに・・襖の向こう側には太い格子が嵌った薄暗い部屋があったのだ。
その格子の前で静を肩から降ろした林は数歩歩いてパチンとスィッチを押すと、部
屋の中の電灯が灯り中が明るくなった。
呆然と座り込んでいる静の前には、前面と側面は頑丈そうな木の格子で、奥と右側の
2方はこれもくすんだ頑丈そうな木の板壁で取り囲んだ部屋が浮かび上がっている。
格子は厚みが10cmもある木で出来ている。
前面の格子には1角が半間ほどの出入り口があり、その出入り口が外側に開いてい
る。
これは・・静が後で聞かされたことであるが・・
東光家は古い家柄であり、代々この家を守って来たそうだ。
10年ほど前になるが、気の触れた当主の妹が幽閉されていたのが、この座敷牢であ
った。
部屋の大きさは14畳ほどであり、部屋の1角には1段と高くなって和式便器と
シャワーのノズルも置かれている。そこは、白いタイルが敷かれていた。
8畳ほどの畳が敷かれた室内には、高価そうだが年代物のタンスとこれも年代物の
座卓が1台置かれているだけのシンプルな部屋だった。
こんなところへ幽閉されるのか・・と驚きと恐怖感で足が竦んでいる静の背中を
押して、その1個所しかない扉をググらせて、林も牢の中に入って来た。
「ここがお前の住処だ!大人しくして奥様のご機嫌を取って、気に入って貰えれば
出して貰えるかも知れん・・」
「それから・・当分の間は全裸だ!」
内塞がれている静に言うと格子の隅にある紐を引いた。
チリンチリンと紐の先に付いている鈴が意外と澄んだ音を立てて鳴っている。
すると鈴の音に誘われたかのように、何処からか老婆が現れた。
老婆は丸裸で身体を女に作り替えられた静を見ても表情を変えない。まるで能面の
ような、それでも整った上品な顔をしている。
絣の着物を着ている老婆は側面の格子の向こう側の部屋から赤い絹の布団を出して
来て牢の入り口のところに置き、一言も口を聞かずに正座をしている。
呆気に取られた静が見ていると、林が入り口のところに積み上げられた布団を牢の
中に入れ、入り口のカギを閉めて一旦出て行った。(つづく)
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