小説 舞の楽園 ( 座敷牢 -19 )
- 2020/01/08
- 00:40
座 敷 牢 { 19 }
未だ女性を知らない静は女陰に飲み込まれてしまうのではないか・・と恐怖を感じ
ている。
光子の性臭がワンピースの中でフワーと臭って、縛られて身動きの出来ない静の口を塞
いでいた。もう既に、その女陰は濡れていた。
剛三がニュウハーフになった自分の下腹部に女陰を造らなかった理由が、静には解った
ような気がしている。
( 6 )
「静。ホラッ・・お姉様のここにキッスをおし・・!」
光子は10年前まで銀座のクラブでホステスをしていた。
その時に、東光製紙の会長である剛三に見初められて、後妻になったのである。
若い頃、光子はレズのタチとして、ネコの女の子と同棲までしていたこともあるが、
剛三と一緒になってからは、レズとも足を洗い貞淑な妻を演じていた。
剛三が静を愛し始めた時には、剛三の愛を奪われまいと真剣に悩んだものだ・・静には
対抗心と言うか憎悪を燃やしていたのだ・・
剛三の葬儀の時に、ヒッソリと黒のスーツ姿で焼香する女の姿の静を見かけて、静を
幽閉する計画を林と共に立てていたのである。
『この男を・・いえ、この女を自分のものにしたい・・・』と考えたのである。
『もう剛三は帰って来ない。これからは、わたしの人生はわたしの好きなように生き
よう・・』
この10年余り、忘れようとしていたレズの味を思い出している。今までは東光製紙の
会長夫人として世間体もあったし、我慢をしていたのだ・・
光子は剛三が死んで枠が取れて、マゾっぽい女のような元男だったらば、世間に知られ
ずに自分の性癖を満足させられるのではないか・・と考えたのである。
幸いなことに(静にとっては不幸なことであったが・・)剛三宅には、誰にも知られて
いない座敷牢があったのである。
元秘書の林はSッ気があるようで、静とは面識があり、静の肉体を与えてやりさえすれ
ば、この計画に協力を拒むことは無いだろう・・と考えてのことだった。
それは・・静に対しては、剛三を盗られたことに対する復讐にもなるはずである。そして
今日実行に移したのである。(つづく)
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