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小説 舞の楽園 ( 義父の白いオブジェ )

       義父の白いオブジェ(34)

 列車とバスを乗り継いで、3時前には温泉に着いていた。
そこは3軒しか旅館がなくとても静かな鄙びたところであった。バスを降りた
信子は「わたしたちの新婚旅行にはピッタリのところだわ・・・」と喜んでい
るようだった。
まず露天風呂に入ってから、辺りを散策した。
ここの旅館の売りはこの露天風呂だそうである。
「初めての女での旅行、疲れたろう?」
宿の部屋に案内されると荷物を置くなり俺は優しく言って、立ったままの信子
を抱いて真紅の唇を奪っている。
下膨れの白い顔にこの旅行の為に買ったらしい真っ赤な口紅の信子はとても可
愛かった。
「いいえ、あなたとご一緒できてとても楽しいわ。ありがとう・・・」
この旅行がとても気に入ったのか俺に縋りついて、この旅行に連れてきて貰っ
たお礼を言って水色のワンピースのお尻を振っている。
 「露天風呂に行こうよ!さっき橋の上から見えた温泉がここの旅館の売りら
しいよ・・・」
インターネットで調べた時の写真とうたい文句を思い浮かべて俺は言っている。
青く澄んだ温泉と湯煙が遠めながら来る途中の橋の上から見えたのだった。
「ええ・・・でも。他の人に見られてしまうのじゃないかしら・・・」
信子もさっき俺が指差したことで、橋の上からこの露天風呂が見えることは
知っている。そこで、そう言って恥ずかしがって深愁したのである。
「大丈夫だよ。あんなに遠目だし、第一見たい奴にはお前の白い裸を見せて
やればいい。もう完全に・・・1ヶ所を除いてはだけど・・女だもの・・」
俺は茶化すように言いながらも、もう全裸になって浴衣を着ていた。この温泉
に来ることが決まって露天風呂に入らなければならないことを知っていた彼女
は覚悟ができていたのであろう、「もう・・」と言いながらも萌黄色のワンピ
―スの背中のファスナーを下ろしていた。
俺は信子には言っていないが、今回の旅行の目的の1つに信子の白い豊満な
肉体を他人に見せてやることにしているのだ。福与かな女体となった信子の
身体を他人の目に晒させてやりたいものだと思っていた。
信子はもう完全に女として通用するのではないかと思っているからだ。
「あっちを向いていてね・・」
先程濃厚な口付けをしたことによって自分の口紅の付いた俺の顔をティシュ
で拭いてから、白いブラジャーとシルクのパンティの信子は言っている。
「信子。浴衣の下はどうせ脱ぐんだから、何も着けないでお出で・・・」
灰皿を持ちながら窓際のソファーに座って、窓の外の明るい景色を見ながら
俺は言っている。
外はこの季節まだ明るく、緑の谷が広がって濃淡の緑がとっても綺麗だった
のを覚えている。
「お待ちどうさま」
その声に振り向くと濃いブラウンのウィッグは冠っていたが、化粧を落とし
て浴衣を着た信子が恥ずかしそうに立っていた。浴衣の襟を後ろに引いて白
い襟足が見えて、胸高に帯を締めている姿は何処から見ても女性そのもので
ある。(続く)
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