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小説 舞の楽園 ( 義父の白いオブジェ )

       義父の白いオブジェ(67)
「本当かい?信子さん。義理の父親というのは・・・?」
前田の親父は驚きと好奇心の混ざった複雑な表情で近づいて来た信子に聞いて
いる。
「まず・・・お座りよ・・・」
親父は「あなた。とうとうバラシテしまったのね」と言う諦めの表情を浮かべ
て傍に立って気おつけの姿勢をした信子を見上げて聞いてから、慌てたように
ソファーを叩いて、全裸縄付きの信子を座らせた。
白い全裸を縄掛けされた彼女は股縄が擦れるのかユックリとソファーに腰を下
ろし、女らしく膝を揃えて背筋をピンと伸ばしてから、まず俺を見た。
「ええ。本当ですのよ。わたしの娘の旦那様ですわ。けれども今は、わたしの
ご主人様ですわ」
そして俺が頷くのを見てハッキリとした女声でそう言った。
「ウ~ム・・・」
親父は言葉も無く唸っている。

 信子は男を感じさせない声で、自分の身の上を語り始めた。もち論、俺に
初めて抱かれた日も含めて、それ以降のことだ。
料理をしていた伸子も親父に呼ばれて、ソファーに座って信子の現実にはあり
えないと思われる話を聞いていた。
「信子さんは幾つなんだい?女に年を聞くのは失礼なんだけれども・・娘さん
はそんなに若いときの子供なのかい?」
話の途中で親父は不思議そうに聞いてきた。信子の年齢から逆算してみても、
娘が結婚しているのは不思議だったようだ。伸子も話を聞いていて、おかしい
と思ったようで2人は顔を見合わせている。
「わたしの年齢でしょうかしら?」
信子は微笑んだ。年齢を言わないと自分の話が信じて貰えないと気が付いた
ようである。
「わたし、今年で56になりますのよ・・・美加は・・わたしの娘です。ここ
にいらっしゃる正義様の女房ですわ。美加はわたしの29の時に出来ました
娘ですことよ」
「こんなオバアチャンでも可愛がってもらえます・・・?」
全部バラシテしまった信子はもう隠すものは何も無くなってサバサバとしたよ
うだ。嫣然と笑って2人を見た。
「うそっ・・・56ですって?若く見えるぅ~。わたしより5つ位年上だとは
思っていたけど・・・」
伸子が思わず叫んでいた。
「う~んっ・・・俺よりも10も上なのか?・・・だけど、そうは見えない。
年下かせいぜい同じ位だと思っていたのに・・・」
親父が驚嘆して呟いた。
「ありがとうどざいます・・・とっても嬉しいわ。女は若く見られると嬉しい
ものですわ・・・ネ」
驚いている2人に向って本当に嬉しそうにニッコリと微笑むと、隣に座ってい
る伸子に向って同意を求めた仕草は本当に可愛いものだった。(続く)

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コメント

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信子

いつも見て戴いてありがとうございます。
縄酔いする信子を・・というご指摘ですが、もう終わりなんです。
こんどは縄酔いする小説を書いてみたいな・・と
思いました。
これからの小説もよろしくお願いいたします。

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